内容説明
「紫の上」の名前に隠された危険な真実―物語の語り手たちによって繰り出される言葉のトリックに注目すれば、『源氏物語』はもっと面白くなる。
目次
あなたも「語り手」
いろいろな「語り手」
無責任な「語り手」―「帚木」三帖の「語り手」
「若紫」の巻の読み方―語りのからくりを読み解く
葵の上と六条の御息所の争い―語りの情報操作
紫の上という呼び名―「語り手」の秘密
玉鬘の物語と浮舟の物語の「語り手」
「竹河」の巻の「語り手」
はじめて『源氏物語』を読む人のために
『源氏物語』の巻々の名とあらすじ
著者等紹介
鷲山茂雄[ワシヤマシゲオ]
1944年愛知県に生まれる。1969年3月早稲田大学第一文学部国文学専修卒業。1974年3月早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻・学位:日本古典文学 博士(文学)。静岡女子大学、静岡県立大学勤務を経て国士舘大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そーだ
2
物語(特に『源氏物語』)には、「語り手」という存在が設定されている。その人物は決して作者の分身ではない(紫式部の身分で女御・更衣にあのような言葉遣いはおそらく許されない)。語り手は彼女らしか知らない秘密を語ってくれる。その語り手に注目することで物語はさらに深みを増す。「語り手」の概念を説き、簡単なあらすじにも触れられている『源氏』の優れた入門書( 適当に書いてみたが、大分前に読んだ本なのでもしかしたら間違えてる部分もあるかも。おすすめなのは本当です)。2008/11/22
mi ya
1
源氏物語の視点の変化について考察した本。語り手によって持っている情報が異なるため、章ごとに光源氏が何を思って行動しているかも異なってくる。まさに源氏物語は各々の聞いた情報を他者に語る、噂話のようであることを再認識できる。最後には章ごとのあらすじが軽く書いてあるため、源氏物語未読の方もこれを読んでから本編に挑むと楽しみも増すこと間違いなし。2018/06/19