PGE1の肝保護作用―最新の知見

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  • サイズ B5判/ページ数 83p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784787813862
  • NDC分類 493.47
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》  プロスタグランジンは,活性化されたホスホリパーゼA2により細胞
膜のリン脂質から分離されたアラキドン酸やγ-リノレン酸からCOXに
よって生合成される生理活性物質です.その研究の歴史は古く,1930
年にKurzrokとLiebによってヒトの精液中にある子宮収縮作用,血圧
降下作用を持つ物質として発見されました.その後,構造や作用機序
等が解明されるに従って,生命の維持に重要な役割を果たしているこ
とが明らかになってきました.また,近年の分子生物学の発展によ
り,その合成酵素であるCOX-2が大腸癌の発生や進展の鍵になる物質
であることも明らかになってきた.
 肝臓外科の分野においては特にプロスタグランジン E1(PGE1)製
剤が注目されています.動物実験においては血管拡張作用,血小板凝
集抑制作用,細胞膜安定化作用による肝障害抑制効果や肝再生促進効
果等がすでに報告されていますが,最新の知見として,PGE1のサイト
カイン産生を抑制する作用,強力な細胞保護作用を持つHSP(heat
shock protein)の誘導や細胞内のレドックスを制御するグルタチオ
ン生成に関与するGlutathione S-transferaseの高発現などの作用機
序が明らかにされています.また臨床においても肝切除や肝移植にお
ける虚血再灌流障害の抑制,肝切除後の肝機能の改善,ABO血液型不
適合肝移植におけるsingle organ DICの予防などに有効であることが
報告されています.このように個々の報告は多いのですが,最新の
PGE1の知見を中心にまとめた書物はありません.
 そこで今回,PGE1の肝臓外科に関する最新の情報を現在,最前線で
活躍される先生方に執筆をお願いいたしました.現在のところ,PGE1
製剤の肝保護作用に関する保険適応は認められていませんが,学術的
にも,将来の展望も考えPGE1の最新の研究成果を伝えていく必要があ
ると考えています.
 最後に,多忙にかかわらず執筆して頂いた先生方と出版までにご協
力いただいた関係者の方々に深く感謝申し上げるとともに,本書が
PGE1研究のさらなる発展と臨床応用拡大の一助となることを願って止
みません.
2004年1月
嶋田 紘    

《目次》
1.はじめに─PGE1の生合成
2.敗血症による肝障害
 A.PGE1によるエンドトキシン誘発肝細胞障害の抑制
 B.PGE1のクッパー細胞内カルシウム濃度に対する影響
 C.PGE1による敗血症時の肝障害抑制機序
3.肝切除後肝循環障害
 A.PGE1投与による門脈血流量と動脈血圧の変化
 B.臨床応用
4.過大肝切除
 A.過大肝切除モデル
 B.過大肝切除の病態
 C.PGE1の過大肝切除後肝不全抑制機序
5.虚血再灌流障害
 A.微小循環障害と虚血再灌流障害
 B.虚血再灌流障害を誘導するアポトーシス分子群
 C.PGE1の虚血再灌流障害軽減
6.肝移植─PGE1と脂肪肝
 A.脂肪肝を用いた肝移植
 B.PGE1による脂肪肝移植後の肝障害抑制機序
 C.PGE1の虚血再灌流障害抑制効果によるsmall-size-graft克服
7.生体肝移植─PGE1の門脈内投与
 A.PGE1門脈内投与に至った背景
 B.PGE1門脈内投与が正常肝血流に及ぼす影響
 C.PGE1門脈内投与の移植肝血流およびviabilityに対する効果
 D.成人生体肝移植におけるPGE1門注療法の臨床応用
 E.成人生体肝移植におけるPGE1門注療法の効果
 F.ABO血液型不適合移植に対する新しい門注療法の開発
8.生体肝移植──PGE1の肝動脈内投与
 A.プロスタグランジンと肝移植
 B.成人血液型不適合生体肝移植
 C.門脈内持続注入療法
 D.肝動脈内持続注入療法
 E.今後の課題
索 引

内容説明

肝臓外科の分野においては特にプロスタグランジンE1(PGE1)製剤が注目されています。動物実験においては血管拡張作用、血小板凝集抑制作用、細胞膜安定化作用による肝障害抑制効果や肝再生促進効果等がすでに報告されていますが、最新の知見として、PGE1のサイトカイン産生を抑制する作用、強力な細胞保護作用を持つHSP(heat shock protein)の誘導や細胞内のレドックスを制御するグルタチオン生成に関与するGlutathione S‐transferaseの高発現などの作用機序が明らかにされています。また臨床においても肝切除や肝移植における虚血再潅流障害の抑制、肝切除後の肝機能の改善、ABO血液型不適合肝移植におけるsingle organ DICの予防などに有効であることが報告されています。本書は、最新のPGE1の知見を中心にまとめたものです。

目次

1 はじめに―PGE1の生合成
2 敗血症による肝障害
3 肝切除後肝循環障害
4 過大肝切除
5 虚血再潅流障害
6 肝移植―PGE1と脂肪肝
7 生体肝移植―PGE1の門脈内投与
8 生体肝移植―PGE1の肝動脈内投与

著者等紹介

嶋田紘[シマダヒロシ]
横浜市立大学大学院消化器病態外科学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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