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出版社内容情報
《内容》 私は小さい頃から医師になる希望をもっており,医師になったはじめから障
害児医療をめざしていたので,卒後1年間一般小児科の研修をした後,小児発
達学の第一人者であられる東京慈恵会医科大学の前川喜平先生のもとで研修を
開始した.一般小児科学と同時に乳児健診の仕方,発達障害児の診療について
の基礎を教えていただいた2年間であった.その後,東京都立北療育園に移り,
故廿楽重信先生に障害児医療の基礎から応用まで教えていただいた.障害児の
診療のみでなく,学会発表や論文の書き方について特訓をしていただいた4年
間であった.
北療育園の勤務を開始する時期に前後して,2歳違いの2人の息子達の育児
が開始となった.その時に記録した写真を本書の「小児の成長と発達」の章に
載せさせていただいた.それからの10年余りは,仕事との両立に迷いながら育
児を続けてきたが,注意欠陥/多動性障害の傾向があった長男が音楽の道に進
むと目標を定めてから人生を着実に歩んでいるのをみることができた時,また
大学生になった次男が「お母さんのような医者になりたい」ということばを残
して地方大学での1人生活をはじめた時に,今までの迷いがふっきれたのであ
った.小児科医にとって子育ては貴重な体験であった.
北療育園の後には,神奈川県立こども医療センター神経内科の岩本弘子先生
のところで2年間勉強させていただいた.重症心身障害児施設や県立ひばりが
丘学園(知的障害児施設)での経験はその後の診療に役立った.
その後夫の英国留学に伴い,2年間ロンドンで生活した.育児の傍ら,ロン
ドン大学のHummersmith病院でDubowitz先生に,Wolfson CenterでHolt先生に
教えていただくと同時に,英国各地の障害児医療の現場を訪れた.この時の経
験も貴重であった.
帰国後,東京慈恵会医科大学熊谷公明先生のお誘いにより,神奈川県総合リ
ハビリテーションセンター小児科に勤務させていただくことになった.熊谷先
生と御一緒させていただいた12年間に学ばせていただいた沢山のこと,熊谷先
生が退官された後の3年間に自ら学んだいくらかのことをまとめたのが本書で
ある.
本書は,リハビリテーションを専門とする医師を対象として書いた本ではな
く,リハビリテーションの素人である小児科医,看護師,保健師,教師などを
対象としている.小児の発達を促していく側面から,リハビリテーション専門
医でもある小児科医が書いた本で,小児科学とリハビリテーション医学の中間
的な視点をもっている.
はじめの部分にリハビリテーション医学の基礎的なことと,小児の成長・発
達について記載した.後半はリハビリテーションを実際にどのように行ってい
るかを記載した.リハビリテーションスタッフの役割を紹介した後に,疾患別
にリハビリテーションの内容を紹介してあるが,普段それ程は眼にすることが
ないと思われるリハビリテーションの実地の様子を,少しでも身近に感じられ
るようにと思い,写真を多く載せた.紹介してある疾患は当センターで多く扱
っている疾患であるため,すべての疾患を系統的に網羅しているわけではない.
頭部外傷,脳血管障害,急性脳炎・脳症といった後天性脳損傷は,総合リハビ
リテーションセンターとしての機能を最大に発揮できるため,私達が最も力を
入れて取り組んでいる疾患である.家族への支援,社会復帰(復学)を含め,
後天性の障害に対するリハビリテーションに重点が置かれている.
本書が障害をもった小児の診療や機能改善の役に立つことができると幸いで
ある.
前川喜平先生,熊谷公明先生をはじめとする私の恩師の先生方,当センター
小児科に勤務された多くの先生方,リハビリテーション部長大橋正洋先生,リ
ハビリテーション各部のスタッフの方々,東京慈恵会医科大学小児科衛藤義勝
先生,そして夫をはじめとした私の大切な家族に心からの感謝を表したい.
2004年1月
栗原 まな
《目次》
■推薦文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・衛藤 義勝
■序文
■『眼で見る小児のリハビリテーション』発行に寄せて・・・・・・・・・・大橋 正洋
1.小児リハビリテーションの実際
1 リハビリテーションとは
2 チームアプローチの有効性
3 小児のリハビリテーションの特徴
4 リハビリテーションの分野に特有な考え方
2.小児の成長と発達
1 成 長
2 発 達
3 反射の発達
3.発達検査・知能検査・言語検査
1 発達検査
2 知能検査
3 言語検査
4.乳幼児健康診査
1 小児の発達
2 乳幼児健診の概要
3 乳幼児健診の評価項目
4 乳幼児経過検診の実際
5 症例提示
5.リハビリテーションスタッフの役割
1 理学療法士の役割
2 作業療法士の役割
3 言語聴覚士の役割
4 臨床心理士の役割
5 医療ソーシャルワーカーの役割
6 リハビリテーション工学士の役割
7 教師の役割
8 看護師の役割
9 職能指導員の役割
10 体育指導員の役割
6.疾患別リハビリテーションの実際
1)言語障害
1 言語障害のおもな分類
2 リハビリテーションの概要
3 リハビリテーションにおける問題点とその対応
4 症例提示
2)脳性麻痺
1 原因と発生頻度
2 分 類
3 診 断
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
3)精神遅滞
1 原因と発生頻度
2 診 断
3 リハビリテーションの概要
4 リハビリテーションにおける問題点とその対応
5 症例提示
6 強度行動障害
4)広汎性発達障害
a.自 閉 症
1 発生頻度
2 臨床症状
3 リハビリテーションの概要
4 リハビリテーションにおける問題点とその対応
b.レット症候群
c.アスペルガー症候群
5)注意欠陥/多動性障害
1 原 因
2 診 断
3 リハビリテーションの概要
4 リハビリテーションにおける問題点とその対応
5 症例提示
6)てんかん
1 原 因
2 分 類
3 診 断
4 リハビリテーションの概要
5 包括的分類
6 リハビリテーションスタッフの関わり
7 リハビリテーションにおける問題点とその対応
8 症例提示
7)脳血管障害
1 原因と発生頻度
2 分 類
3 当院で入院リハビリテーションを行った症例の概要
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
8)急性脳炎・脳症
1 原 因
2 当院で入院リハビリテーションを行った症例の概要
3 リハビリテーションの概要
4 合併症としてのてんかん
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
9)頭部外傷
1 原因と発生頻度
2 分 類
3 当院で入院リハビリテーションを行った症例の概要
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
10)脳 腫 瘍
1 分類と発生頻度
2 臨床症状
3 検査所見
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
11)二分脊椎
1 原因と発生頻度
2 分 類
3 臨床症状
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
12)脊髄損傷
1 原因と発生頻度
2 分 類
3 予 防
4 急性期の治療
5 リハビリテーションの概要
6 リハビリテーションにおける問題点とその対応
7 症例提示
13)ギランバレー症候群
1 原因と発生頻度
2 臨床症状
3 検査所見
4 診断基準
5 急性期の治療
6 リハビリテーションの概要
7 リハビリテーションにおける問題点とその対応
8 症例提示
14)筋 疾 患
1 分 類
2 臨床症状
3 検査結果
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 先天性ミオパチー
7 進行性筋ジストロフィー
15)神経皮膚症候群
1 原 因
2 分類と発生頻度
3 代表的疾患
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
16)変性疾患
1 分 類
2 リハビリテーションの概要
3 リハビリテーションにおける問題点とその対応
4 症例提示
17)重症心身障害
1 重症心身障害とは
2 原因と発生頻度
3 合 併 症
4 リハビリテーションの概要
5 リハビリテーションにおける問題点とその対応
6 症例提示
7.社会復帰(復学)への支援
1 対象の状況
2 復 学 先
3 復学後の問題
4 復学に対する支援状況
5 順調に復学するための条件
6 症例提示
8.障害の受容
1 家族へのアンケートを通して
2 家族会の活動の紹介
3 障害を受容していくための支援
9.地域リハビリテーション
1 神奈川県総合リハビリテーションセンターの位置づけ
2 対象疾患
3 病院における療育支援
4 福祉施設における支援
10.福祉機器
1 福祉機器とは
2 福祉機器の役割
3 福祉機器の種類
4 社会環境の整備
■索引
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- 電子書籍
- 風がとどまる場所【タテヨミ】第155話…