肝・胆・膵フロンティア<br> 肝細胞癌―診断・治療の最前線

肝・胆・膵フロンティア
肝細胞癌―診断・治療の最前線

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  • サイズ A4判/ページ数 132p/高さ 28cm
  • 商品コード 9784787810175
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 序   文  膵癌の発生頻度は近年増加の傾向がみられ,死亡率も上昇している.治療成績も,胃癌,大腸癌などの消化管の癌に比較して,胆道癌と同様,予後がきわめて不良である.如何にして,膵癌の治療成績を向上させるか,切実に求められているのが現状である.発見された時点で,すでに進行癌であること,膵ではリンパ系が豊富に発達していること,周囲組織,特に膵後面では被膜がないために容易に後面に接する組織への浸潤が起こることなどが,予後を不良にしている主要な因子となっている.  治療成績を向上させるためには,現時点では,早期発見,早期治療が唯一の方法と考えられている.近年,超音波診断を中心とした画像診断の進歩は著しく,特に膵疾患領域における診断の進歩には目をみはるものがある.大きさが5mm以下の小膵癌も発見されるようになってきた.治療に関しては,消化管分野などでは,手術療法に代わって,内視鏡下手術が,早期癌の症例では,採用されるようになってきたが,膵癌に関しては,いまだ手術療法が中心となっており,進行癌に関してのみ,姑息的な療法が採用されている.手術術式に関しては,早期の癌が発見されるようになり,また,併用療法の工夫発達により術式自体も変遷がみられ,拡大から縮小まで,病例によって,QOLを考えた術式が採用されるようになってきており,かつて考えられたような膵癌に関しては,一率に拡大根治術を目指すというようなことはなくなってきている.化学療法と放射線療法,手術療法の組み合わせなど,治療法の選択肢が多くなっており,適切な治療法を選択するには,十分な知識が要求される.  今回,消化器系癌のなかでは,最も予後が不良とされている疾患の一つである膵癌の治療成績の向上を目指して,本書を企画した.特に早期発見は,治療成績の向上には,欠くことのできない必須条件であり,早期発見の診断のコツを会得することが望まれる.本企画では,最重要項目として取り扱うこととした.  膵癌取扱い規約に関する知識の再整理と本邦における疫学の正しい理解は基本事項として必要なことである.病理に関しては膵管癌,粘液産生膵癌をはじめ,悪性,良性の鑑別が困難な症例での病理診断のポイントを十分に理解する必要がある.また遺伝子異常に関しても,最近の知見を紹介することとした.  診断に関しては,画像検査が中心となって行われているのが現状であり,現時点では,最も正確な情報を提供してくれる.最新のEUS,MRCPなどの知識をも含め,また膵管鏡,膵生検をも含めて解説をしていただいた.境界領域と考えられる良・悪性の鑑別が困難とされている嚢胞性疾患に関しては,別項をもうけて知識を整理した.  手術療法としては,癌の発生部位,進行程度,患者の状況などの条件により,拡大から縮小まで,種々な術式が工夫されている.各種術式の適応と選択を十分理解することは,きわめて大切である.QOLをも含めた長期予後と転帰を明確にしたつもりである.成績向上のためには手術療法のみでは不十分で,術中照射をも含めた放射線療法などの合併療法も常に考慮しなければならない.しばしば遭遇する切除不能な症例に対する対策も重要である.特に末期症例でのQOLを考えた対策は大切である.遠隔成績を左右する因子,手術後の転帰を十分理解することにより,的確な膵癌治療の方針が得られればと考える.  以上,第一人者の専門家にご依頼して,膵癌に関する最新の知見をまとめてみた.本書を十分に活用していただいて,明日への膵癌治療に役立たせていただければ幸いであり,必ずや役立つものと考えている次第である.  1998年12月 責任編集者 二川俊二 順天堂大学医学部第二外科学教授    《目次》 目   次  1.膵癌取扱い規約(第4版)の要点と問題点 三重大学第一外科 川原田嘉文・他  1 膵癌取扱い規約改訂の歴史 1 膵癌取扱い規約第4版の要点 1 本邦規約とUICC分類との比較 2 新分類案 6  2.膵癌の疫学 神戸大学災害・救急医学 中山 伸一・他  9 頻度 9 死亡数,死亡率,罹患率の変遷 10 リスクファクター(危険因子) 10 組織学的頻度,治療成績 12  3.膵癌の病理 15 病理学的観点 … 順天堂大学病理学第一 山崎 滋孝・他……15 嚢胞腫瘍と膵管内腫瘍 15 膵管内乳頭腫瘍と浸潤性膵管癌 16 遺伝子異常 … 国立がんセンター中央病院臨床検査部 菅野 康吉……20 膵癌の遺伝子異常 20 膵癌の遺伝的易罹患性 22  4.画像診断 25 総論 総論 … 順天堂大学消化器内科 有山  襄……25 超音波(US) 25 超音波内視鏡(EUS) 25 腔内超音波(IDUS) 25 CT 26 MRI 26 MR cholangiopancreatography(MRCP) 26 内視鏡的膵胆管造影(ERCP) 26 各論 超音波 … 名古屋大学第二内科 小島 伸哉・他……28 超音波検査の概要 28 各種膵疾患の超音波像 31 新しい超音波検査 40 CT・MR … 国立がんセンター東病院放射線科 村上 康二・他……47 CT 47 MRI 54 ERCP,MRCP,血管造影 … 順天堂大学消化器内科 窪川 良廣・他……60 対象 60 方法 60 ERCP 60 MRCP 62 ERCPとMRCP 62 血管造影 63 症例 65 考察 70 膵管鏡・膵生検 … 手稲渓仁会病院消化器病センター 真口 宏介・他……71 膵生検・細胞診のアプローチルート 71 内視鏡的膵生検(EPB)の臨床成績 74 膵管鏡 76  5.膵癌と腫瘍マーカー 金沢大学がん研究所内科 渡辺 弘之・他  79 膵癌の腫瘍マーカーの分類 79 主な腫瘍マーカーの陽性率と偽陽性率 79 膵癌の早期診断における血清腫瘍マーカーの有用性 81 膵液中癌関連遺伝子の腫瘍マーカーとしての有用性 82  6.膵m胞性疾患と癌 東京女子医科大学消化器外科 今泉 俊秀・他  85 自験例の概要 85 嚢胞形態と手術適応 85 組織学的進展 86 遠隔成績 87 治療方針 87  7.手術療法 89 総論ーわが国における手術療法の変遷,現況,将来ー … 帝京大学第一外科 高田 忠敬……89 膵癌切除の創世記 89 膵癌に対する拡大手術 89 リンパ節転移と神経浸潤:拡大郭清の目安としてのリンパ節群分け 89 臓器温存膵切除術 90 膵癌手術の将来 91 各論 標準的膵頭十二指腸切除術 … 京都大学腫瘍外科 今村 正之……93 術式 93 再建法 95 拡大膵頭十二指腸切除術式 … 金沢大学保健学科 永川 宅和・他……97 膵頭部癌治療の基本方針 97 広範囲拡大郭清膵頭十二指腸切除術の手技 97 合併症とその対策 100 拡大膵頭十二指腸切除術の成績ならびに問題点 101 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術 … 横浜市立大学第二外科 簾田康一郎・他……103 適応 103 術式の要点 103 術後合併症 106 手術成績 106 全十二指腸・胆道温存膵頭切除術 … 北海道大学第二外科 安保 義恭・他……109 本術式の適応 109 手術手技の実際とポイント 109 術後管理 112 膵頭区域切除術 … 名古屋大学第一外科 神谷 順一・他……113 膵頭上部切除の実際 113 考察 116 膵分節切除術 … 福岡大学第一外科 池田 靖洋……118 適応 118 術式選択上の注意点 118 膵分節切除・尾側膵空腸吻合術の手技 119 術後管理と術後合併症 123  8.化学療法 国立がんセンター中央病院内科 岡田 周市 125 対象 125 抗癌剤の種類と投与方法 125 効果判定法 125 治療成績 126  9.膵癌に対する放射線治療 国立がんセンター東病院外科 竜  崇正・他 129 対象および方法 129 結果 129 考察 131  10.膵癌の集学的治療 東北大学第一外科 渋谷 和彦・他 135 教室例の概要 135 膵頭部癌の手術成績 135 膵体尾部癌の手術成績 136 術中照射療法の効果 136 膵癌と肝転移 137 経門脈投与によるLAK養子免疫療法と化学療法 138  11.切除不能例の治療 山口大学第一内科 近藤  哲・他 141 自験例の概要 141 症例呈示 141 成績 142 考察 143  12.遠隔成績ー成績に影響する諸因子ー 久留米大学外科 今山 裕康・他  145 自験例の概要 145 膵管癌の予後に影響する因子 148 まとめ 149  13.手術後の転帰 国立がんセンター中央病院外科 小菅 智男・他  151 予後不良の要因 151 切除症例の予後 152 治療成績向上の可能性 154 随  想 … 三重大学名誉教授/松阪市民病院長 水本 龍二……155 和文索引 157 欧文索引 160 広告一覧 164

目次

1 疫学
2 基礎
3 病理
4 早期診断のストラテジー
5 治療のストラテジー
6 発生予防のストラテジー

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