手術室研修医マニュアル

手術室研修医マニュアル

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  • サイズ A4判/ページ数 241p/高さ 30cm
  • 商品コード 9784787807618
  • NDC分類 494.2
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 術前編編者序文  外科医にとって手術は唯一の治療行為であり,研修医の時からメスを置く時までより良い手術のための修練が求められる.しかしその内容は手術操作の熟練と術前・術中・術後の患者管理に限られ,術前手洗い,ガウンテクニックをはじめとする消毒・滅菌,手術用機器学,手術材料学,感染制御学などは先輩の勘や経験が伝統的に受け継がれてきたか,あるいはまったく関心をもたれないまま現在に至っているのが現実である.例えば消毒と滅菌はまったくレベルの違う状況であるのに手袋の装着時には強く意識されず,手洗いしただけの手で滅菌ガウンに触れてしまってはガウンを滅菌する意味がなくなってしまうことにも多くの外科医は気づいていないのでないだろうか.電気メスやレーザーメスも原理が十分に理解されていないまま使用されているのではないだろうか.不織布ガウンは製法こそ違え布のガウンであり,紙で出来ているから暑くて着心地が悪いと誤解している外科医も多い.無論同じレベルのバクテリアバリア性を求めるなら綿布のガウンの方が暑くて重くて着心地が悪い.このような無関心や誤解をいくらかでも少なくしたいという希望をもって術前編をまとめた.手術医学を専門とされている先生方には不十分な表現や内容を指摘される部分を承知の上で外科医となるにあたって最少限度この程度の知識はもっていてほしいと考えて出来る限り簡潔にまとめた.ご理解とご容赦をお願いしたい.  麻酔法については井出先生にその実際の解説をお願いした.簡潔ではあるが内容は充実していて研修医には得るところが大きいであろう.  なお,この企画が検討された時点では図表と簡単な説明文に留める内容であったが,術中編を分担された先生方が当初の目的と異なり力のこもった稿をお寄せいただいたため,術前編は全面的に書き直さなければならない必要に迫られ,かつ編者(著者)が手術部長就任直後で業務が倍増し,執筆がなかなか進まず出版が大幅に遅れ共著者の先生方と診断と治療社の編集部とりわけ村木範昭氏には多大の御迷惑をおかけした.すべての小生が責を負うべきものであり心よりお詫び申し上げる次第である.  術前編では発展途上の学術領域である手術医学を基本としているので,内容によってはすでに新しい考え方が取り入れられつつある部分もあり,すべてが最新のものとは言いがたいが基本的な点では十分に活用できる内容と考えており,さらに手術学を学術的根拠をもった体系的な学問として発展させるためご意見,ご批判をいただきたい.   1998年12月 千葉大学医学部附属病院手術部長・助教授 古山 信明    《目次》 I 術 前 編 2 1.手術部の構成と環境制御 古山 信明 2 手術部の構成 2/環境制御と空気調和 4/滅菌水供給システム 7 2.滅菌・消毒 古山 信明  8 滅菌と滅菌法 8/消毒と消毒法 12/手術野の消毒 16/手術時手洗い18 3.手術衣,手袋の装着 古山 信明 22 綿布ガウンの装着 22/不織布ガウンの装着 24/手袋の装着 26 4.手術機器 古山 信明 32 手術器具(鋼性小物) 32/大型機器 34/手術台および周辺機器 42 5.手術材料 古山 信明 46 縫合針 46/縫合糸 48/器械吻合器・縫合器 51/内視鏡下手術システム 52/手術用ガウン(不織布ガウン) 54 6.麻酔法 井出  徹 56 全身麻酔に必要な器具 56/全身麻酔に使用される麻酔薬および筋弛緩薬 58/全身麻酔に使用されるモニター 59/全身麻酔の導入・挿管前の点検 60/全身麻酔の導入 62/エアウェイ 64/ラリンジアルマスク 65/経口挿管 66/持続硬膜外麻酔 69/全身麻酔の維持・管理 72/覚醒・抜管 76 II 術 中 編79 1.手術手技に関する用語論 手術総論学の提唱 草間  悟 80  2.手術上達法 小川 道雄 88 はじめに 88/■■手術が巧い■■とは 88/上達するためにどのような習練を心掛けるべきか 89/手術手技「新べからず集」 91 3.術者,助手の役割 塩崎  均 92 はじめに 92/術者について 92/助手について 96/良い手術を行うために 97 4.基本的器械の正しい使い方 吉野 肇一 100 はじめに 100/メス 100/電気メス 102/はさみ(鋏,剪刀) 103/出血させないコツ 104/把持鉗子 104/縦溝鉗子(腸管断端挫滅止血鉗子) 105/腸鉗子 105/鑷子(ピンセット) 107/Dechamps(デシャン)の糸は,どちらを取るか 107/Mathieu(マッチュウ)持針器の持ち方 108/おわりに 108 5.皮膚切開・縫合 金子  剛 110 はじめに 110/必要器具,材料 110/切開 113/剥離操作 114/縫合 115/その他 119/症例 120/おわりに 121 6.止血 嶋尾  仁・他 122 はじめに 122/止血に先立つ操作 122/止血操作 122/おわりに 131 7.糸結び 菅  和男 132 はじめに 132/糸結びの種類 132/糸結びの手技の実際 133/まとめ 140 8.運針 関  州二 142 はじめに 142/運針術の理想,制約と対処法 143/運針の種類 144/運針の軌道 145/縫合針の種類 146/縫合針の役割分担と形状からの制約 146/諸家が勧める運針法の現実 147/運針の回転運動 148/術者の制約 149/手術野の制約 149/ピンセット(鑷子)の意外な手助け 150/持針器の把持法 151/縫合針形状と上肢可動域の制約に抵触しない運針法 152/縫合針の把持法 154/狭隘な術野の運針術 156 9.腹壁切開・閉腹 柵瀬信太郎 160 切開法の選択にあたって考慮すべき事項 160/腹壁筋層の神経支配 160/切開 161/術中の注意 167/閉腹の基本 168/術後管理 173/腹部再手術時の注意 173 10.開胸・閉胸 渡辺 真純 176 はじめに 176/開胸手術に必要な手術器械 176/開胸 177/閉胸 182 11.体腔鏡下手術における開・閉腹 大谷 吉秀・他 184 はじめに 184/腹腔鏡下手術 184/胸腔鏡下手術 192 12.腸管吻合 丸山 圭一・他 194 はじめに 194 13.穿刺 田中 淳一・他 200 はじめに 200/術中超音波ガイド下肝臓穿刺 200/ 腹腔鏡下手術における腹壁穿刺 203/腹腔鏡下肝臓穿刺法 206/おわりに 207 14.生検 川口  晃 208 はじめに 208/乳房生検 208/リンパ節生検 213/術中肝生検 216/おわりに 219 15.ドレナージ 花谷 勇治・他 220 はじめに 220/ドレナージの目的と方式 220/ドレナージの実際 221/術後ドレナージに起因する有害事象 227/おわりに 228 16.植皮 山崎 明久・他 230 はじめに 230/遊離植皮片の厚さによる分類 230/植皮の厚さと採皮部の選択 230/分層植皮 231/全層植皮 235/ 網状植皮 235/植皮法 236/おわりに 237 和文索引 238 欧文索引 241

目次

1 術前編(手術部の構成と環境制御;滅菌・消毒;手術衣、手袋の装着;手術機器 ほか)
2 術中編(手術手技に関する用語論 手術総論学の提唱;手術上達法;術者、助手の役割;基本的器械の正しい使い方 ほか)