出版社内容情報
「ここに資本主義の真の敵がいる。
かつて社会主義を信奉した私の両親のことではない。
資本主義の動力である欲望を否定する者たちだ。」
純文学と諧謔的コメディが交錯するなかで実存的な問いを鋭く掘り下げた傑作短篇集。
発禁作『パルチザンの娘』でデビューし、『父の革命日誌』が30万部を超す大ベストセラーを記録した、孤高の女性作家の真骨頂。
大ヒット作『父の革命日誌』と双璧をなすベストセラー。
〈両親の足跡をたどる『パルチザンの娘』によって一躍その名を世に知らしめた数年後、小説家としてデビューを果たしたチョン・ジアは、短編小説という形式の中で両親の記憶を掘り起こし、積み重ねながら、その存在論的な問いを求礼(クレ)という土地と結びつけて描いてきた。彼女の過去の作品には自伝的な要素が色濃く反映されており、分断国家がもたらしたイデオロギーに苦しむ登場人物たちは、その連鎖から逃れることができず、むしろそれによってのみ自己の存在を証明しうるかのように描かれていた。求礼に暮らす隣人たちもまた、それぞれ異なる物語を抱えて生きている。他者の声に耳を傾けること、多様な存在のありようを見つめる眼差しこそが、この短編集に見られる変化なのではないか。--訳者〉
【目次】
資本主義の敵
文学博士チョン・ジアの家
黒い部屋
私たちはどこまで知っているのか
階級の完成
アトランタ・ヒップスター
母猫を捜すもの悲しい子猫の鳴き声
存在の証明
アハ、月
編 註
初出一覧
作家のことば
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おたま
55
チョン・ジアの小説は初めて読む。著者は、まさに「パルチザンの娘」。父と母が独裁政権に対するパルチザンとして、智異山に立てこもり武装闘争を行った。その娘として、作家として暮らしてきた自分が、今現在の韓国での生を9編の短編として描いた短編集。それは父や母の現在を、娘の視点から描いたり、母の視点から描きもする。また、自分の知りえなかった人々の生活にも想像力を駆使して潜り込む。それは時にユーモアも含まれるのだが、どこかブラックであったり、現実を刺し貫いたりもする。長編『父の革命日誌』にも繋がっていくらしい。2026/02/15
azukinako
49
すごかった。面白かった。ブラックコメディの様相をしていて翻訳も素晴らしいからクスッとしながらすらすらと読み進めるのだが、気が付いた時には背後から刺されてしまったという感じだろうか。著者の両親がパルチザンで、その娘として育ってきた著者の視線(デビュー作はまさに「パルチザンの娘」)がいろんなところから現れ、”どう思う?”と聞かれているようだ。半端な回答したら怒られそう(笑)あまりにも面白くて著者の「父の革命日誌」をポチってしまった。2026/01/19
星落秋風五丈原
18
まさか資本主義の敵があんな相手とは。2026/01/27
ポテンヒット
16
表題作は、タイトルを見ると硬派だが内容はとてもユーモラス。パルチザンの娘で剛毅な性格の主人公が知る〝敵〟なる人物が面白い。このような人が実は一番強いのかもしれない。そして、資本主義社会にまみれていると、他人の欲望を自分の欲望と勘違いしている事も多々あるかもしれないと思う。「私たちはどこまで知っているのか」も良かった。同一人物でも自分が見た角度と他の人が見た場合と印象が大きく異なる時がある。人生を上手く渡れないテギにとって叔母の存在は大きかっただろう。どの話も韓国の社会が反映されていて興味深かった。2026/02/11
ヘジン
13
なんかこう、パンチ力に圧倒された。かつ面白い。『資本主義の敵』『文学博士チョン・ジアの家』『黒い部屋』『階級の完成』『アトランタ・ヒップスター』『存在の証明』『アハ、月』がよかった(ってほぼ全部)。ほかの本も読もう。2026/02/16




