出版社内容情報
「ここに資本主義の真の敵がいる。
かつて社会主義を信奉した私の両親のことではない。
資本主義の動力である欲望を否定する者たちだ。」
純文学と諧謔的コメディが交錯するなかで実存的な問いを鋭く掘り下げた傑作短篇集。
発禁作『パルチザンの娘』でデビューし、『父の革命日誌』が30万部を超す大ベストセラーを記録した、孤高の女性作家の真骨頂。
大ヒット作『父の革命日誌』と双璧をなすベストセラー。
〈両親の足跡をたどる『パルチザンの娘』によって一躍その名を世に知らしめた数年後、小説家としてデビューを果たしたチョン・ジアは、短編小説という形式の中で両親の記憶を掘り起こし、積み重ねながら、その存在論的な問いを求礼(クレ)という土地と結びつけて描いてきた。彼女の過去の作品には自伝的な要素が色濃く反映されており、分断国家がもたらしたイデオロギーに苦しむ登場人物たちは、その連鎖から逃れることができず、むしろそれによってのみ自己の存在を証明しうるかのように描かれていた。求礼に暮らす隣人たちもまた、それぞれ異なる物語を抱えて生きている。他者の声に耳を傾けること、多様な存在のありようを見つめる眼差しこそが、この短編集に見られる変化なのではないか。--訳者〉
【目次】
資本主義の敵
文学博士チョン・ジアの家
黒い部屋
私たちはどこまで知っているのか
階級の完成
アトランタ・ヒップスター
母猫を捜すもの悲しい子猫の鳴き声
存在の証明
アハ、月
編 註
初出一覧
作家のことば
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
naff1968
5
唸ります、上手くて。胃がキリキリします、厳しくて。ユーモラスなものから冷たくて重いものまで、しっかりと読ませる短編集。「歳月」も手に入れたので、もうしばらくチョン・ジアの眼を通してこの“世界“を見つめてみようと思います。2025/10/25
sansdieu
1
9作品のうち、やはりパルチザンの娘らしい視点で書かれた前半5作品の内容、文体がよかった。最近知ったのであるが、韓国には、日本よりも落伍者が生きていける余地が少ないそうだ。そこで、読んでいて疑問に思ったのは、立身出世主義を描いているのか、それとも著者自身が立身出世主義に囚われているのかである。2025/11/21
ishida
1
簡潔な語り口ながらぐいぐい引き込まれてしまった。他の作品も読む2025/11/15
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- 和書
- 対訳でたのしむ百万




