出版社内容情報
引っこみ思案な中学1年生の千鶴は、教育熱心な母親に言われるままに私立の進学校に入学するも、いい大学を目指すためにさらに勉強にいそしむ周囲の雰囲気に、どこかなじめずにいる。そんなとき、大好きな叔母の杏奈ちゃんが交通事故で亡くなってしまった。「しっぽ」の研究者だった杏奈ちゃんのことを、「役立たず」と呼ぶ母親。その言葉を聞くたびにもやもやしながらも、母への反論の言葉を持たない千鶴。杏奈ちゃんが大学に残した荷物の片づけを手伝い、彼女にゆかりのある人たちと触れ合ううちに、千鶴のなかで「学び」に対しての意識が少しずつ変わっていき、「研究は勉強と違う」「研究は楽しい」と言っていた杏奈ちゃんの言葉の意味がわかるようになっていった。「ヒトはなんでしっぽを失くしたのか?」「人にとってしっぽとはなにか?」というテーマを研究していた杏奈ちゃんの足跡を、千鶴と一緒に追ってみましょう。
【目次】
おもな登場人物
プロローグ
第1章 杏奈ちゃんはしっぽ博士
形見のタブレット/はじめての京大
第2章 京大・人類学研究室
人類学研究室の山下さん/はじまりの地/山下さんの話①:大地溝帯とミルクティー/ミッシングリンク・化石記録の空白/山下さんの話②:さよなら人類学
第3章 京大・発生学研究室
日仏学館でおいしいランチ/発生学研究室の中山先生/杏奈ちゃんの新たな挑戦/懐かしい声/京都コレクションとヒト胚しっぽの研究/中山先生の話:伸びて止まって、そして縮む/どうすればやりたいことを見つけられる?/京都大学総合博物館の松浪さん
第4章 京大総合博物館、ふたたび
動物園としっぽ博士(?)千鶴/鳥のしっぽはしっぽじゃない?/二度目の京都大学総合博物館/松浪さんの話①:大学時代の杏奈ちゃん/松浪さんの話②:博物館での再会/お母さんのわからずや
第5章 杏奈ちゃんのしっぽ展
三度目の京都大学総合博物館/わたしはなにを失くしたのか?/杏奈ちゃんからのメッセージ
エピローグ
あとがき
しっぽ学(Shippology)ってなに?
おもな参考文献・動画
内容説明
なぜ、どうやって、ヒトは進化と発生の過程の両方でしっぽを失くしてしまったのか?しっぽがないにもかかわらず、なぜ大昔からひとはしっぽを追い求めるのか?生物学的側面と文化的側面の両面から「しっぽ」の研究をしていたしっぽ博士・杏奈ちゃんの足跡を追ううちに、13歳の千鶴はいつしか「しっぽ学」に魅了されてしまいました。
目次
プロローグ
第1章 杏奈ちゃんはしっぽ博士(形見のタブレット;はじめての京大)
第2章 京大・人類学研究室(人類学研究室の山下さん;はじまりの地 ほか)
第3章 京大・発生学研究室(日仏学館でおいしいランチ;発生学研究室の中山先生 ほか)
第4章 京大総合博物館、ふたたび(動物園としっぽ博士(?)千鶴
鳥のしっぽはしっぽじゃない!? ほか)
第5章 杏奈ちゃんのしっぽ展(三度目の京都大学総合博物館;わたしはなにを失くしたのか? ほか)
エピローグ
著者等紹介
東島沙弥佳[トウジマサヤカ]
京都工芸繊維大学応用生物学系助教。1986年大阪府生まれ。奈良女子大学文学部国際社会文化学科卒業。京都大学大学院理学研究科生物科学専攻博士課程修了(博士(理学))。京都大学大学院理学研究科生物科学専攻研究員、大阪市立大学(現・大阪公立大学)大学院医学研究科助教、京都大学白眉センター特定助教を経て、2025年春から現職。専門はしっぽ。しっぽを多様な角度から調べることで私たちが生物学的・人文学的にいつ・どのように「ひと」になったのかを解明したいと研究(しっぽ学、Shippology)を進めている
久米火詩[クメヒウタ]
長野県原村生まれ。名古屋市立大学芸術工芸学部卒業。書籍装画、雑誌の挿絵、企業広報誌の挿絵、教科書の挿絵などで、幅広く活動中。建築などの専門的な内容や日常に潜む、素朴な魅力を留める絵を描いている。建築家の久米岬さんと共に「くらしの学校」を発信中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。