出版社内容情報
噴火湾沿岸に生きた人びとの、「切り取られた」写真を歴史につなぎ直す
「日本人」であることを強制される一方、ときに「伝統的なアイヌ」であることも求められ、差別のまなざしを向けられた人びとは、どのように時代を生きたのか。
明治時代以降、観光みやげとして製作された「アイヌ風俗写真」に写されたもの、そして意図的に写されなかったものに意識を向け、細やかな資料の分析から近代アイヌの実態を描き出す。
内容説明
噴火湾沿岸に生きた人びとの、「切り取られた」写真を歴史につなぎ直す。「日本人」であることを強制される一方、ときに「伝統的なアイヌ」であることも求められ、差別のまなざしを向けられた人びとは、どのように生きたのか。明治時代以降、観光みやげとして流通した「アイヌ風俗写真」に写されたもの、写されなかったものの分析を通して実態を描き出す。
目次
プロローグ 写された側の歴史へ
第1章 最古級の写真群 一九世紀後半(最古級の写真;撮影地を絞りこむ ほか)
第2章 写されなかった村 「異民族性」による選別と終わりない人種差別(資料の空白;天皇奉迎への参加の「説諭」 ほか)
第3章 切り取られ、再現された「固有の風俗」 一九〇〇年代(ピリカ会発行『アイヌ風俗写真ヱハカキ』;ピリカ会と弁開凧次郎 ほか)
第4章 「見せる」と「見られる」のはざま 一九一〇年代の三度の熊送り(熊狩りと熊送り;「陋習」とみなされた熊送り ほか)
第5章 押し寄せる旅行者と観光地化をめぐる葛藤 一九二〇~四〇年代(長万部につくられた展示施設「ヱカシケンル」;「アイヌ部落」を目指す和人旅行者と観光業の萌芽 ほか)
エピローグ 終わることのない「アイヌ史」
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