内容説明
唐の律令制をとり入れ独自の律令国家形成を推し進めた、八世紀の古代日本の政治・行政の中枢、平城宮。先人のたゆまぬ努力と市民の保存運動が、律令国家建設の生きた証といえる遺跡を大切に守ってきた。世界遺産・特別史跡平城宮跡の真の姿を継続的な発掘調査で明らかにする。
目次
第1章 世界遺産・特別史跡「平城宮跡」(遺跡としての平城宮跡;名称・形・構造;平常宮の時期区分)
第2章 平城宮の骨組み(造営前の様相;古墳の削平と河川の付け替え;宮城門・大垣と宮内道路)
第3章 二つの中枢区画(東区と中央区;第一次大極殿院;第二次太極殿;内裏;東院地区ほか)
第4章 役所域ほか(南方官衙の様相;東方官衙の様相;北方官衛ほかの様相)
第5章 その後の平城宮(平城太上天皇と平城宮;平城宮の「発見」と保存;未来の平常宮にむけて)
著者等紹介
渡辺晃宏[ワタナベアキヒロ]
1960年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位取得退学。独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所副所長。専攻は日本古代史。職務として、平城宮跡の発掘調査と木簡を中心とする出土文字資料の整理・解読に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おの
14
衝動買い。平城宮遺跡について解説してある。東朝集堂が唐招提寺講堂とされて移築され、現存しているとのことで行こうと思った。今こうして遺跡が保護されているのは、沢山の人の力あってこそだな…!としみじみ。2023/07/23
うしうし
8
平城宮には数回訪れたことがあるが、建物の立体復元がなされた第1次大極殿や朱雀門を見ただけで満足していた。宮内には他にも平面表示や植栽による遺構表示があることを認識してはいたが、それが何を意味するものであるかは理解できなかったし、学習する書籍も知らなかった。このたび刊行された本書は、現状で復元表示されている遺構のほぼすべてがカラー写真や図版とともに詳しく概説されている。遺跡が広すぎることもあり、建物跡・溝や塀など、一見似たような施設の位置や性格を把握することに、最初は少し苦しんだが、2020/05/17
kaz
3
図書館のシステムでの内容紹介は「唐の律令制をとり入れ、独自の律令国家形成を推し進めた、8世紀の古代日本の政治・行政の中枢、平城宮。その真の姿を、60年におよぶ継続的な発掘調査の成果から明らかにする。カラー図版も豊富に収録」というもの。カラー図版が豊富という印象は無いが、発掘調査の様子はよくわかる。廃都後、基本的に田畑として利用され大規模に開発されることなく千年以上を経過し、八世紀の遺跡が良好な状態で守られてきたというのは、奇跡かもしれない。 2020/07/09