目次
夢の木馬1(旅立ち)
夢の木馬2 名も知らぬ異国の港町にて
夢の木馬3 雑踏
夢の木馬4 廃屋
夢の木馬5 夢の中の少年
せんせい 私に教えてください
美しい言葉が次々と浮かび出て
夢の中で
まあちゃん
この町はきらい〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
106
ブッシュ孝子さんの詩は、神谷美恵子さんや河合隼雄先生が紹介し、最近では若松英輔さんによって広く知られるようになった。この本は、28年の短い生涯の最後の半年間に綴られた92編の全詩集。私は詩を鑑賞する能力が全くないが、孝子さんの詩は、素直な気持ちが表現されていて、私のような人間でも心が震える。病気に対する不安、死に対する恐怖、愛、感謝、永遠の命…揺れる心が透明なリズムとして語られる。「暗やみの中で一人枕をぬらす夜は 息をひそめて 私をよぶ無数の声に耳をすまそう」という詩に救われたという若松さんの解説も秀逸。2021/12/15
アキ
75
20代で夭折したブッシュ孝子。1971年9月ヨハネス・ブッシュと結婚。1973年9月からノートに詩を記しはじめ、92編の詩を残し、1974年1月27日乳がんのため永眠した。死を前にして詩に託した思い。生きたいと願う気持ち。「詩は生命から生まれる ・生命は詩から生まれる ・そんな詩でなければ詩とはいえない ・そんな生命でなければ生命とはいえない」 そんな生命を生きているだろうか? 若松英輔の長いあとがきがある、手になじむ詩集です。2020/05/10
メタボン
34
☆☆☆★ 時間があれば、きっともっとゆっくりと詩作が出来たのだろうに、死を意識しなければならない心情で、急ぐように(詩作の日付が物語っている)紡ぐ詩が切ない。乳がんで亡くなった女流文学者と言えば中城ふみ子を思い起こす。2022/03/12
有機物ちゃん
25
乳がんを宣告され28歳で夭折された女性が闘病しながら書いた詩。死が迫る恐怖と戦いながら、人生を俯瞰し、当たり前の日常のあらゆるものや事柄に愛しさや尊さ、焦燥と憧れ、生きていたいという願いが悲しくて、優しくて。生きること死ぬこと、漠然とした言葉にできない不安な気持ちを言葉で拾い上げでくれてなんだか心が落ち着く。タイトルの詩と「死を目の前にしながら生きることの方がもっとこわい、その恐怖の中で自分を見失うことの方がもっとこわい、そして残された時間が空しく流れることの方がもっとこわい」が強く残る。2023/09/24
かもめ通信
25
「若くして病を患い、闘病中にドイツ人青年と結婚した詩人が、命を終えるまでの五か月間にノートに書き綴ったもの」と知ればますます切ないが、そうと知らなくても詩人の言葉には心にしみてくるものがあった。2020/07/17
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