内容説明
縄文時代中期に約800年続いたムラの跡、御所野遺跡。最新の研究手法を用いてこの遺跡を多方面から調査し、新たな縄文世界が見えてきた。
目次
ムラをとりまく自然環境(豊かな自然環境の誕生;御所野の大地)
ムラの暮らし(御所野縄文ムラの土器;土器をつくった粘土;矢じりづくりと珪木化;縄文人はアスファルトを使っていた;植物利用の姿がみえてきた;土屋根の住居;列島各地との交流)
ムラの移り変わり(ムラのはじまり;中央に環状集落が;祈りとまつりのムラへ)
祈りとまつり(配石遺構の出現;土偶は何に使われたのか;イエを焼く;山と石への祈り;木の実を焼く;動物の骨を焼く)
見えてきた縄文世界(見えてきた縄文世界;北の縄文世界と御所野遺跡)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
32
岩手県の御所野縄文遺跡について、発掘調査の結果をまとめた本。五千年前から八百年続いた村の変遷を跡付ける。矢や槍の柄に石器を取り付けるのに天然アスファルトを使用。そのアスファルトや黒曜石などは各地からもたらされ、最も遠いのは糸魚川産の翡翠。土葺の竪穴住居を焼いたのは、アイヌの儀式から死者が出た時の家送りの儀式ではないかと。アイヌ文化との近親性に想いをいたす。学生の頃、日野や馬込で汗まみれ泥まみれになって土器堀りをしていたことを思い出す。バイトを紹介してくれた先輩は、そのままそこに就職したのだった…2022/03/02
hal
7
岩手県にある縄文時代の御所野遺跡の博物館と、遺構が復元されている公園のパンフレットのような本です。写真や図が豊富で、とてもわかりやすい。竪穴式住居の屋根は、穴を掘る時に出た土で塗り固められていて、復元された住居の写真を見ると、屋根に草が生えていて、ちょっとホビットの家を連想しました。2020/04/01
三谷銀屋
3
岩手県一戸町の御所野遺跡の発掘から明らかになってきた縄文人の生活や祭祀、ムラの構成の変遷などが分かりやすく書かれていた。遺跡には、当時を生きていた人々の生活の跡が生々しく残されている。はじめは台地の1つのムラにまとまって生活していた人達が、やがて台地の周辺に幾つも分散した小規模なムラをつくるようになり、それとともに特別な祭祀の場が設けられるようになる。なぜか意図的に家を焼いたり、動物の骨を焼いたりした跡も。一体何をしていたのか、文字で残されてたらいいのに!と思うけど、謎が多いからこその古代ロマンでもある。2020/03/21
陸
1
御所野縄文で購入。テーマごとに文章2p写真2pなので分かりやすい。石好きなので石器の話が好き。珪花木で鏃出来るの!?脆いイメージだったんだけど。環状列石は花崗岩が中心。白い石が好きなんだね。2021/08/01
kaz
0
縄文文化にさほど興味があるわけではないが、住居が土屋根であったとか、住居内で火を燃やした場合の効果や煙の検証とか、遺跡発掘に関するエピソードはなかなか面白い。 2020/06/22
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- 和書
- 花物語 〈上〉 河出文庫