内容説明
大政奉還、王政復古の大号令、辞官納地、鳥羽・伏見の戦いとめまぐるしく変わる事態に、去就にまよう北越の小藩・村上藩内藤家。若き家老・鳥居三十郎は、藤翁こと前藩主・内藤信親から、“新政府に恭順”することで藩をまとめるよう密命を帯びる。ところが藩内は、新政府との徹底抗戦を主張する“主戦派”と“恭順派”、“日和見派”の三つに分かれ、激しく対立してしまう。テレビでおなじみの河合敦先生が挑んだ初の歴史小説!
著者等紹介
河合敦[カワイアツシ]
1965年東京都生まれ。青山学院大学文学部史学科卒業、早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(教育学研究科社会科教育専攻日本史)。高校教師27年の経験を生かし、歴史研究家、歴史作家として講演、執筆、テレビをはじめとするさまざまなメディアで日本史の解説を行っている。第17回郷土史研究賞優秀賞、第6回NTTトーク大賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポチ
60
戊辰戦争時、5万石の小藩、越後・村上藩の抗戦か恭順かで揺れ動くさまとその後を、家老 鳥居三十郎を中心に描く。失礼ながらあまり有名ではない藩ですが、この様な小藩の生き残る為の足掻きを知ることが出来良かった。2018/04/10
誰かのプリン
19
時代は幕末。私のご先祖様は村上の地でどうしていたのかしら?と思いを馳せながら読了。鳥居三十郎無名ながらも、天晴れでした。2018/04/12
kawa
16
幕末、佐幕か恭順か、越後・村上藩の存亡をかけて29歳で切腹した家老、鳥居三十郎苦闘の物語。地元の方はともかく、歴史の影に隠れた英傑。知られていないけれど、小説の主人公となるような魅力的人物がまだまだいるんだろうな。キャラ立つ多彩な登場人物もあいまって、幕末小藩の激動のドラマを堪能させてもらった。2017/12/16
舟江
8
初めて知った作家。越後村上藩の物語。当時のルールが分からないので、窮鼠の一矢になったかどうかは不明。そして文章が余りにお粗末で、しかもストーリーに血が通っているとは思えない。心筋梗塞になったような文面だった。しかし、幕末の村上藩の流れだけは分かったような気がする。2018/05/12
アキ
8
日本史の有名講師の河合敦が書いた初めての小説。羽前(山形県)村上藩が、戊辰戦争において新政府軍につくか奥羽列藩同盟につくか激しく揺れ動くなか、若き家老・鳥居三十郎がとったのは、考えもつかない行動。最終的に、多くの農民も家来もともに救うことができたが、考え尽した結果といえよう。史実がわずかしか残されていないなか、ここまでよく書けたなあという程、三十郎の胸の内が明かされる。「そのためになら私は死んでもかまわない」そんな死にがいを見つけた人は幸せである、と著者は結んでいる。この時代の人は死をもって事をなす。 2018/01/30