内容説明
北部九州の交通の要衝、佐賀県鳥栖市の安永田遺跡から銅鐸の鋳型が出土した。それは「近畿中心の銅鐸分布圏/北部九州中心の銅剣・銅矛分布圏」という従来の弥生時代文化圏に再検討をせまることになった。筑紫平野に花開いた弥生時代のテクノポリスを探訪する。
目次
第1章 九州ではじめての銅鐸鋳型(銅鐸鋳型の発見;青銅器の種類と名称)
第2章 安永田遺跡は青銅器工房だ(安永田遺跡の発掘;銅鐸鋳型がつぎつぎに出土;青銅器工房の時期)
第3章 広がる青銅器工房(福田型銅鐸を追う;青銅器の一大生産地・柚比遺跡群;柚比遺跡群以外にも工人集落が)
第4章 青銅器生産の実態解明へ(青銅器の誕生と日本列島への伝来;弥生時代の青銅器製作に挑む;鋳型石材の産地を求めて)
第5章 弥生時代のテクノポリス(青銅器生産と渡来人;北部九州弥生文化圏;残された課題)
著者等紹介
藤瀬禎博[フジセヨシヒロ]
1947年、福岡県飯塚市生まれ。明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。1977年より鳥栖市教育委員会に所属し、生涯学習課参事(兼市誌編纂係長)等を務め退職。現在、鳥栖郷土研究会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金監禾重
5
遺跡名に見覚えがある、という程度だったが、古代史の常識を塗り替えた重要遺跡だったとは。このシリーズの巻末には関連遺跡・博物館紹介があるが、鳥栖市には歴史系の博物館・資料館が無いらしい。戦国時代の城跡・城下町がよく残った遺跡である勝尾城も鳥栖市。ぜひ、豊かな歴史・文化財を持つ地域はそれを学ぶことができる施設を作ってほしい。北部九州弥生時代といえば甕棺文化だが、この地域ではかつて牛馬が地中の甕棺を踏み抜く陥没事故が多かったというエピソードが興味深い。2019/10/18
うしうし
2
安永田遺跡出土銅鐸鋳型の石材は、「石英長石斑岩」。産地は福岡県八女市立花町一帯で、矢部川流域の黒木町から船小屋温泉間の河原転石を使用。八女市域では青銅器鋳型の出土はなく、石材は砥石として使われている。2017/02/04