内容説明
復元大極殿がそびえる特別史跡平城宮跡の北、奈良県と京都府の境を東西にのびる奈良山丘陵には、平城京遷都以降、多くの瓦窯(がよう)がつくられ、宮殿や貴族の邸宅、興福寺・東大寺などの寺院の瓦をさかんに生産した。各窯の発掘調査から、瓦工房の実態を明らかにする。
目次
第1章 長屋王邸の瓦発見(謎の蓮華文様を求めて;長屋王邸を飾った瓦;平城京遷都と瓦)
第2章 古代瓦の見方と平城宮の瓦(本瓦葺きと古代瓦;軒丸瓦と軒平瓦;平城宮の軒瓦の時期区分)
第3章 奈良山瓦窯群の展開(なぜ奈良山丘陵に;平城宮造営にかかわる中山瓦窯;平城宮の瓦を維持した官窯;平城遷都の宮を飾った瓦窯;「京」に瓦を供給した瓦窯;寺院の瓦をつくった瓦窯)
第4章 瓦工房の復元(上人ヶ平瓦工房の発見;鹿背山瓦窯の発見;瓦工房の生産工程を復元する)
第5章 地方への波及と瓦工人
著者等紹介
石井清司[イシイセイジ]
1954年、大阪市生まれ。龍谷大学文学部史学科(考古学専攻)卒業。京都府教育委員会嘱託調査員を経て、京都府埋蔵文化財調査研究センター設立時より職員として勤務、京都府内の発掘調査に従事する。現在、公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター総括主査(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レアル
43
京都府との奈良県の境にある平城山瓦窯群(跡)から平城京に使われたとされる様々な瓦が出てきた。瓦一つで建物の構造からいつ築造されたかまで分かる。そんな平城山瓦窯群から出てきた瓦について検証、考察している。瓦窯からの検証も読んでて楽しいが、この本を読むと瓦そのものの知識が読んでいて楽しい。たかが瓦、されど瓦。瓦って奥深い。 2020/05/20
うしうし
1
平城京の北、京都府と奈良県境の奈良山丘陵に立地する奈良山窯跡群(京都府木津川市)の概説。瓦工房である大型建物群が発見された上人ヶ平遺跡などが特に興味深い。遺跡公園として残されている窯跡も複数あるというので、現地を訪れてみたくなる内容である。 ・瀬後谷瓦窯で生産された花弁のひとつが一葉になる「複弁八葉蓮華文」軒丸瓦は、「長屋王邸」に供給されていた(p6-9)。・奈良山窯跡群から平城宮・京に瓦を運搬する5つのルートが存在する(p34)。2016/11/24