内容説明
古墳時代最大の内戦「磐井(いわい)の乱」の当事者、筑紫君磐井の墓である岩戸山古墳は、武人・力士・馬などをかたどった多くの石製品で飾られていることでも有名だ。北部九州から朝鮮半島の古墳も視野に入れ、継体王権と磐井の関係、磐井の乱の実像にせまる。
目次
第1章 筑紫君磐井の墓
第2章 岩戸山古墳の実像
第3章 石製表飾の語るもの
第4章 敵か味方か?磐井と継体
第5章 朝鮮半島情勢と「磐井の乱」
第6章 律令国家への道
著者等紹介
柳沢一男[ヤナギサワカズオ]
1947年群馬県生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。宮崎大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
7
いまの天皇家の始祖である継体を擁立し、最後は半島政策の違いから袂を分かって滅ぼされた筑紫君磐井。本当に岩戸山古墳に埋葬されてるなら、なぜ発掘しないのだろう? 明治〜戦前は、岩戸山古墳はどういうふうに扱われてたのも気になる。。2018/12/21
うしうし
3
県立図書館本を借り読み。岩戸山古墳の発掘調査は1971年以降進展がないが、近年の北部九州や肥後・朝鮮半島の古墳研究を踏まえて、磐井の乱をめぐる考古学的状況を概説する。馬門ピンク石製石棺や石屋形を取り入れた古墳の分布は、継体王権と北部九州勢力の連携を物語るという。*石製表飾の最古例は大分県臼杵市臼塚古墳(5世紀前葉)とされていたが、4世紀末~5世紀初頭の熊本県天草市竹島3号墳、荒尾市下井手地区(別当東古墳)が発見され、有明海側で誕生した可能性が高まった(p34)。2014/12/07
坂津
1
筑紫君磐井の墓と目される岩戸山古墳を含めた北部九州の古墳、当地特有の石製表飾文化、石室や石棺に共通点が見出だせる近畿圏の古墳や朝鮮半島南部の前方後円墳など、磐井にまつわる遺跡・遺物について広く取り上げたブックレット。新泉社の「遺跡を学ぶ」シリーズはフルカラーで多数の写真を掲載しており、読者にとっては嬉しい構成。茶畑が広がる八女丘陵の地形を感じながら岩戸山古墳から石人山古墳まで訪ね歩いた記憶が蘇る。越前や若狭、朝鮮半島南部に九州系横穴式石室古墳が点在していることを知り、古代九州勢力の影響力を感じた。2020/11/20
Yoshihiro Yamamoto
0
A 筑紫君磐井の墓とされる岩戸山古墳を見学した後、中宮寺展を見に国立九州博物館へ行った。この本はその時、売店で発見したもの。新泉社の「遺跡を学ぶ」シリーズは、1遺跡1冊というマニアックぶり。この本も相当なものだが、実際に古墳やその周囲及び関連遺跡を見たので、なんとかついて行けた。この本の素晴らしいところは写真の豊富さと、理解を促進する図版の数々だ。こういう本に出会えるのが博物館の売店だ。著者は遺物から「継体天皇と磐井はかつては親密な関係にあった」という仮説を立てている。想像もしていないことだったので驚愕!2021/01/31