内容説明
縄文時代の東北地方で、石器づくりの主要な原石材であった珪質頁岩(けいしつけつがん)。それを堂々と掘りだし加工していた場所が、秋田県は八郎潟東側の里山でみつかった。縄文人の生活必需品であった石器の原石採掘と製作、交換ネットワークから縄文社会に迫る。
目次
第1章 縄文鉱山、発見
第2章 壮大な珪質頁岩の物語
第3章 これは原石採掘坑だ!
第4章 鉱山作業を復元する
第5章 石器から縄文の地域社会に迫る
第6章 石器で語る縄文時代
著者等紹介
吉川耕太郎[ヨシカワコウタロウ]
1973年兵庫県生まれ。明治大学大学院博士前期課程修了。秋田県立博物館学芸職員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
15
星糞峠における黒曜石採掘 ( https://bookmeter.com/books/13363535 ) が原初の「鉱山」のような気がしてたけど、よく考えると有用な鉱物・岩石の種類だけ鉱山もあるはず。ということで本書は黒曜石・サヌカイトとならんで石器の3大原材料の一角を占める珪質頁岩の鉱山と交換ネットワークのお話。秋田には近代鉱山だけでなく縄文の鉱山もあったのだ。最後にちょろっと出てくる、フリント(〜珪質頁岩と似た石器材料)の採掘地@イギリスの話も調べてみたい。2023/05/29
佐藤一臣
5
石槍のような大型石器は、原石の採れる現場で製作をしていたようだ。その方が製作リスクや運搬の手間が軽減できるからだと推測されている。また、原石採掘所と石器製作所をきちんと分けていたとも推測されている。地理状況と石器遺物の種類から、石器製作の作業工程を類推すると、作業手順に従った空間配置が見えてくると言うのには感動した。さらに、自給自足の定住生活から余剰生産物(石器資源)を共有財として、近隣の村々との流通ネットワークを築いていた可能性が指摘もされている2023/08/14
長谷川 陽
0
出入りの本屋さんがおすすめしてくれたので購入。石器だけで縄紋社会を考察するってのは大変だよなぁ。2012/03/01