内容説明
原発の稼働とともに増えつづける使用済み核燃料。その処理という現代社会が抱える難問にどうとり組むのか。原発推進国カナダにおける「国民協議」を検証する。
目次
1 核廃棄物問題と本書の視点
2 倫理的政策分析とその重要性
3 カナダの核燃料廃棄物管理政策―二つの陣営間の論争
4 核廃棄物管理政策で問われた倫理的諸問題
5 三つの倫理学理論と核廃棄物問題
6 熟議民主主義による政策分析の可能性と問題点
著者等紹介
ジョンソン,ジュヌヴィエーヴ・フジ[ジョンソン,ジュヌヴィエーヴフジ][Johnson,Genevieve Fuji]
1968年、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー生まれ。同州スティーブストンで育つ。1995年、サイモン・フレイザー大学政治学部卒業。1997年、ロンドン大学LSE校政治理論研究科修士課程修了。2004年、トロント大学政治学研究科博士課程修了。現在、サイモン・フレイザー大学政治学部准教授
舩橋晴俊[フナバシハルトシ]
1948年、神奈川県生まれ。1976年、東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。現在、法政大学社会学部教授、法政大学サステイナビリティ研究教育機構機構長
西谷内博美[ニシヤウチヒロミ]
2001年、シカゴ大学人文学研究科修士課程修了。2005年、法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了。現在、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アシスタント(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
4
「対話への参加者が採用するべき理性の種類をめぐっては、多くの論争が存在する。…ロールズの公共的理性と道理性の所期の目的は、正当化という目標に貢献するような意見の一致なのである。だが、その代償は何であろうか。その代価は排除なのかもしれない。というのは、熟議の参加者たちが公共的理性と道理性について、異なった、そして競合する考え方をもっているかもしれないからである。強固なロールズ派であれば、熟議の参加者に、自分たちの信念体系だけではなく、自分たちの公共的理性と道理性の考え方をも放棄させることを要求するであろう」2024/05/13