内容説明
縄紋時代がはじまったころ、縄紋人はどんな文化をつくりあげていたのか。四国は愛媛県の山中、渓谷にそびえ立つ岩塊の岩陰にのこされた生活の痕跡―土器、石器、女性像を線刻した石偶、埋葬人骨などが、わたしたちに縄紋時代草創期・早期の世界を伝えてくれる。
目次
第1章 縄紋時代のはじまりを追う(縄紋時代の考古学;上黒岩岩陰遺跡の発見;発掘調査の歴史;明らかになった生活の痕跡)
第2章 歴史を手にする実感(上黒岩岩陰遺跡との出会い;報告書を出そう;気になる第二岩陰)
第3章 草創期の上黒岩岩陰(土器の登場;弓矢の出現;石偶にみる心)
第4章 早期の上黒岩岩陰(押型文土器;敲石と石鏃;縄紋犬と動物骨;出土人骨からみた縄紋人)
第5章 縄紋文化のはじまり(移動と定住;縄紋のはじまりの年代をさぐる;縄紋時代はいつから?;これからの上黒岩岩陰遺跡)
著者等紹介
小林謙一[コバヤシケンイチ]
1960年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院民族学考古学専攻、総合研究大学院大学博士課程・国立歴史民俗博物館などをへて、現在、中央大学文学部准教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐藤一臣
6
縄文草創期の遺跡で、石器の種類が堆積層によって変わっていることから植生の変化があったのではないかと推測している。考古学の面白いところはこういうところにあるのだろう。また、縄文土器の出現理由や縄文時代のスタートを設定するのに、何を持って縄文文化と見なすのかの解釈にも言及されている。日本列島内における土器修飾技術の伝播について南方系・北方系以外にも詳細な記述がほしかったところだ。草創期前半の代表的な遺跡としては、青森県の大平山元、神奈川県SFC、勝坂、新潟県卯ノ木南、富山県鳥浜、長崎県泉福寺洞穴がある2023/04/03
しょー
4
数万年前の人間に普遍性を感じるとは思わなかった。医学や科学の発達しない時代だからこそ、祈りは重要なのだろう。子を失った悲しみは何時の世も変わらない。 親より先に死なないことが最大の親孝行と、ある声優が呟いていた。彼女の発した言葉の重みが強まった。2014/02/12
うしうし
3
縄文時代草創期の線刻礫(岩偶)が出土した愛媛県上黒岩遺跡の概説書。p19に掲載された隆起銭文土器の復元写真は、シンプルでプリミテイブではあるが、想像以上に美しい。隆起線文土器の編年的な位置については、著者が関わった関東境川流域の土器編年をもとに、明解に説明されている。 2019/04/09
-
- 和書
- 禁忌 幻冬舎文庫