内容説明
日本列島の古代史に独特の光を放つ吉備。その中心地帯を望む小高い丘に、他の追随を許さない規模の弥生首長墓がある。遺構のくわしい調査と弧帯文石(こたいもんせき)などの特異な遺物を検討することにより、弥生の葬送祭祀と前方後円墳出現への道筋をさぐる。
目次
第1章 楯築弥生墳丘墓の発見(不思議な御神体;弥生墳丘墓の発見)
第2章 姿をあらわした大首長墓(巨大な墳丘;中心主体部の追究)
第3章 大首長の葬送祭祀(特別な埋葬;墓上でおこなわれた祭祀 ほか)
第4章 前方後円墳へのかけ橋(多様な弥生墳丘墓;共通する葬送祭祀 ほか)
著者等紹介
福本明[フクモトアキラ]
1956年岡山市生まれ。関西大学文学部史学科卒業。倉敷市教育委員会文化財保護課を経て、現在、倉敷埋蔵文化財センター館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ステビア
23
「前方後円墳の源流の確たるひとつは吉備にあり、さかのぼれば楯築弥生墳丘墓に発するといっても過言ではない」2023/11/29
月をみるもの
13
近藤先生( https://bit.ly/2Rs7IXr )が最初に楯築神社の御神体(〜弧帯文石)を発見するプロローグは、まるでよくできたお話のよう。しかし突出部が破壊されてしまったのは本当に残念。近藤先生が主導した民間との共同による月の輪古墳の発掘は、登呂遺跡と並んで、当時の日本人の歴史に関する意識を大きく変えた。https://bookmeter.com/users/5119672019/01/14
坂津
3
2019年の年末に吉備津神社から吉備路を経て作山古墳まで踏破した時に立ち寄った楯築弥生墳丘墓。楕円形の丘の上に並べ立てられた幾つもの巨石とコンクリート製の収蔵庫に保管された弧帯文石が印象的だった。本書を読んで、遺跡として整備される過程に、岡山大学考古学研究室に在籍していた近藤義郎を始めとする関係者の尽力と七次に及ぶ調査があったと理解できた。祭祀用の特殊器台や特殊壺など、前方後円墳の源流と見なせる要素が観察される点は興味深い。1970年代に住宅開発の影響で墳丘墓の突出部が破壊されてしまったことは悔やまれる。2021/12/05
すぬぴ
1
岡山市と倉敷市の境にある楯築遺跡に関する調査研究。自分がこういった分野に興味を持つとは思わなかった。知らない世界を知るって、純粋に面白い。まだまだ知りたくなった。2016/02/08
rbyawa
1
f188、この吉備ってのはのちの「備前・備中・備後」の元となった国なんですが、位置からするとのちの備前の辺りってことでいいのかなぁ? 勢力が別れたってのもいつの時期なのか曖昧なのかもしれないけど、分割されて困った様子は確かになかったんだよな。この地に桃太郎伝説(キビ団子って黍かと思ってたw)の元になった温羅伝説がありこの温羅さんが製鉄技術をもたらしたとのことで、びっくり。この墓は最大級の規模ではあるもののその主は不明なのかな、丹を多く使い、鉄器があり、土器があるものの副葬品は少ない、研究進んで欲しいなぁ。2015/08/12