内容説明
奈良県斑鳩町・法隆寺のすぐ近くに営まれた大円墳。石室には華麗な馬具が納められ、千年以上の時を経て開かれた朱塗りの石棺には、豪華な副葬品に包まれて二人の人物が眠っていた。この二人は誰なのか。困難な発掘作業を振り返りつつ、出土品や史料から推理する。
目次
第1章 暗闇のなかの朱塗りの石棺(藤ノ木古墳の最初の調査;横穴式石室に入る ほか)
第2章 円墳と横穴式石室(墳丘は円墳だった;横穴式石室の構造と構築状況)
第3章 家形石棺を開く(ファイバースコープによる調査;石棺を開く)
第4章 葬られたのは二人(幾重にも布に包まれた二人;遺物はどちらの人のものか ほか)
第5章 藤ノ木古墳に眠るのは誰か(法隆寺などに残る陵山文書;守られてきた藤ノ木古墳 ほか)
著者等紹介
前園実知雄[マエゾノミチオ]
1946年愛媛県生まれ。同志社大学文学部卒業。1969年奈良県立橿原考古学研究所に勤務。1998年同研究所資料室長を経て奈良芸術短期大学へ。奈良芸術短期大学教授、橿原考古学研究所指導研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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びっぐすとん
16
職場本。藤ノ木陵『天駆ける皇子』を読んで以来、心に残っていた穴穂部皇子と宅部皇子。この2人が埋葬されているのではないかと言われている藤ノ木古墳。未盗掘で現代まで伝わったその価値は計り知れない。被葬者が穴穂部皇子ならば、政争の果てに殺された悲劇の皇子だけれど、その華々しい埋葬品はかなり身分が高い人物と想像され、その死が普通ではなかったからこそ豪華なのかもしれない。仲が良かったから巻き添えのような形で殺された宅部皇子、宅部皇子だけならこんなに豪華な副葬品はなかったのだろうが、死出の旅も連れだってとは気の毒。2024/07/05
月をみるもの
11
考古学の扱う古墳の時代と、文字に記された歴史の奇跡的なオーバーラップ。2019/02/22
坂津
2
法隆寺の近くに位置する大円墳・藤ノ木古墳の発掘の過程や副葬品の詳細、被葬者の情報等についてまとめた書籍。横穴式石室に安置された朱塗りの家形石棺は未開封であり、その中には、男性二人の遺骨だけでなく、副葬された繊維製品や、染料や防腐剤の可能性があるベニバナの花粉といった有機物さえも残存していた。第5章では法隆寺等の古文書の記録から、藤ノ木古墳が少なくとも中世以降は「ミササキ」と呼ばれており、幕末まで手厚く供養され続けてきたことを明らかにし、考古学的成果も踏まえ穴穂部皇子・宅部皇子が埋葬された可能性を示唆する。2021/02/23
陸
0
図書館。発掘状況や副葬品をとても細かく説明されている。表紙の復元された刀が美しい。二人の貴公子の推理には納得できたけど、まとめて一つのお墓に葬る理由がまだ謎のような。7百年間、ひっそりといろんな人の手で祭られていたことにもロマンを感じる。2014/06/25
yuki
0
「古墳」というものに感動してしまいました。。2009/02/28
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