内容説明
秋田県北東部、遠くに山並みを望む見晴らしのよい台地に、縄文後期につくられた径四十数メートルの二つのストーンサークルがある。近年の発掘で周辺にも多くの石の遺構がみつかった。厖大な数の石を運び、巨大なモニュメントをつくりあげた縄文人の祈りをさぐる。
目次
第1章 北の巨大モニュメント(縄文人による石の造形;墓場か、祭祀場か)
第2章 発掘と保存の歩み(地域の人びとによる発見と保存;学術調査の進展 ほか)
第3章 大湯環状列石の解読(規則性のあるサークル;弧状の配石墓群 ほか)
第4章 大湯環状列石の変遷(環状列石の成立と分散化;今後の研究の課題)
第5章 よみがえる祈りの空間(縄文景観を復元する;環状列石を復元する ほか)
著者等紹介
秋元信夫[アキモトノブオ]
1952年秋田県生まれ。1977年弘前大学理学部物理学科卒業。青森県教育委員会文化課を経て、1980年から鹿角市教育委員会に所属。御休堂遺跡、天戸森遺跡、新斗米館跡などの調査や大湯環状列石の環境整備事業に従事。鹿角市教育委員会生涯学習課主幹・大湯ストーンサークル館主幹
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感想・レビュー
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鯖
23
子どもの頃、何回か行ったストーンサークル懐かしいなあ…。日時計や墓地、祭祀等様々な説があるけど未だに使途は不明。遺跡から7kmのところの川床に1mくらいの長方形の石が堆積し、それがゴロゴロ転がり流されるうちに円柱形に研磨され、支流に堆積したものを運んだとのこと。酸性土壌だから、骨が発掘される可能性はこれから先もまずないとのことで、それでも残っちゃう石にすごいなあと思った。2020/08/09
いくら丼
7
北黄金貝塚のお土産その5! これはだいぶ調査報告書みが強かった。調査期間が長い分だけ明かされた情報量も多く、周辺遺構の細部まで丹念に伝えている。色々な説も伝えつつあくまで現物の記録を正確に……なんというか、考古学っぽいなぁと。悪いわけじゃないけど、それほど微に入り細を穿つ知識を欲しているかと言われると、既に大方の目的を終えた今、結局さらっと読むに留まる。また必要な時に、必要な個所を確認する感じかな。でも遺跡の保存や復元の話は興味が強い。石の洗浄一つとっても、色んなこと考えて数々の技術が詰まっているんだな。2023/10/05
遊動する旧石器人
1
2005年7月第1版第1刷。謎のストーンサークルをめぐる研究とその保存整備に関わる内容。大湯環状列石は野中堂環状列石と万座環状列石が主たるものだが、これまでの調査で環状列石の周囲、環状列石の下部構造、大湯環状列石の周辺部などが明らかとなってきた。一本木後ロ配石遺構群の調査で、配石墓群であることがわかった。しかしながら、遺跡周辺部には掘立柱建物群は環状に存在するものの、竪穴住居がほとんど存在しない点から、葬送儀礼の遺跡とされ、集落はもう少し遠方部に存在するのではないかとされる。本書の後半は遺跡保存の内容。2016/07/22
陸
1
現地で購入。そこにあった説明だけで十分だったけど、発掘と復元にかける情熱は読んでいて楽しい。ストーンサークル館も良かったので、今度はこれを手にゆっくりと遺跡を回りたい。2016/05/23