内容説明
自由奔放で勇壮な精神あふれる土器群を残した八ヶ岳西南麓の縄文人たち。彼らの生活を知りたいと、竪穴住居址の発掘、縄文集落の解明、そして遺跡の保存へと、みずからの生涯を賭けた地元の研究者・宮坂英弌の軌跡をたどり、縄文集落研究の原点とその重要性を熱く語る。
目次
第1章 尖石物語(縄文のふるさと;開墾の鍬と尖石遺跡;宮坂英弌と尖石遺跡の出合い)
第2章 尖石遺跡の発掘(炉址をねらえ;竪穴住居を掘る;集落址の解明)
第3章 原始集落の復原(与助尾根遺跡の発掘;縄文集落の復原;尖石集落と与助尾根集落の盛衰)
第4章 特別史跡・尖石遺跡は今
著者等紹介
勅使河原彰[テシガワラアキラ]
1946年、東京都生まれ。西東京市田無第三中学校主任、文化財保存全国協議会常任委員、(財)トトロのふるさと財団理事。「第2回尖石縄文文化賞」受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
12
こちらも現地に行ってきたので再読。やはり、いくら本で読んでも、実際に現地に赴かないとわからないことが多いのを実感。逆に現地に行っても、事前の知識の仕込みがあるのとないのでは、「見える」ものの質が違う。尖石縄文考古館は、毎年通ってもいいくらいの充実度だった。2022/05/15
月をみるもの
12
尖石遺跡の、、、というよりもむしろ、その発掘に生涯を捧げた宮坂英弌(ふさかず)についての書。シュリーマンのように最初に金持ちになってからでないと、発掘への耽溺はこういう悲劇に繋がってしまう。。誰の役にも立たない「研究」を行うものが、どうやって生活の糧を得て、どうやって必要な資金を賄うべきか。。。考えさせれることが多い。2019/08/10
rbyawa
1
f024、中央本線の信州・八ヶ岳の麓にある遺跡群の中で一番最初に本格的に発掘されたのがこの尖石遺跡、なんでも地元の学校に勤める宮坂英弌さんという人が宮様の視察に合わせての下見を行ったことがきっかけで発掘にのめりこみ、ほとんど援助もないままに遺跡と人生を共にし、そのことがきっかけでこの地に広範囲の縄文遺跡があることが判明していくようになった、という話。このシリーズで「人」がメインなのは多分かなり珍しいんじゃないでしょうか、でもここまでじゃなくてもこういう人たちがいないといろいろ研究も進まなかったんだろうね。2015/02/13