内容説明
社会構造=機能的分析により科学としての社会人類学を確固たるものにし、社会人類学の父といわれたR=ブラウン。相続制度、冗談関係、トーテミズム、タブー等について機能論を駆使して解明した代表的論文12編を収録。巻末に、著書の生涯、学説に関する解題と詳細な解説を付す。
目次
南アフリカにおける母の兄弟
父系的および母系的継承
親族体系の研究
冗談関係について
冗談関係についての再考
トーテミズムの社会学的理論
タブー
宗教と社会
社会科学における機能の概念について
社会構造について
社会的制裁
未開法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
マリノフスキが儀式等を個人の欲求から生じた機能と捉えたのに対し、著者は集団が社会を成り立たせるための機能と捉え、人類学に理論的基礎を与えたとされる。インド洋東部のアダンマン島を調査した著者は、文明社会が宇宙や自然界に法則を見出すところに儀式が発生する点に注目した。季節の変化や動植物の多様なのリズムは人間の社会生活のリズムと異なる。それゆえ儀式は自然と社会を因果関係的に捉える社会の機能と捉えられる。また、なじり合いが敵対とされず冗談となる関係は、集団の連帯を作る「友情関係」が通底にあるという指摘は興味深い。2024/02/28
ゲニウスロキ皇子
2
マリノウスキーと同じく近代人類学の礎を築いた人類学者。よく言われていることであるが、マリノウスキーが卓抜したフィールドワーカーであるならば、ラドクリフ=ブラウンは研ぎ澄まされた理論化である。デュルケムらの機能主義的理論を背景として、タブー、トーテミズム、冗談関係といった諸事象を明快に分析していく筆致は「見事!」というより他ない。やはり古典は面白い。しかしなぜだろう。ネタもオチも分かり切っているというのに。なぜこれほどまでに我々を惹きつけてやまないのか。なんとも落語的である。2011/11/20
★★★★★
1
構造機能主義はなんとなく時代遅れな感じがして敬遠してましたが、そんな偏見を抱いていた自分に反省。予期に反して非常に面白かった。2008/12/13
chuchu*
0
マリノフスキーの弟子たちは、次第にラドクリフ=ブラウンに流れていったらしいが、この論稿集を読んでブラウンの明確な理論的視点になるほどと思った。推論を排し、比較文化の重要性を説き、学生たちの指導にあたったブラウンは、批判はあれど当時はものすごい影響力を持ったのだろうと思った。親族、宗教、法、トーテミズムといった人類学の基本事項にかなり触れているため、人類学を志す者にとっての教科書的存在であると思う。2014/04/20