内容説明
『へび少女』『おろち』『イアラ』『漂流教室』『洗礼』『まことちゃん』『わたしは真悟』『神の左手悪魔の右手』『14歳』…。名作を描き続けた孤高の人、楳図かずお。本書は、恐怖に加え、子ども、母、神、美と愛、夢、時間といったモチーフを縦横に織り込んで描かれた楳図作品を、主題論・作品論・表現論・文献学を総合して読み解き、その可能性の中心を照らし出す。恐怖マンガの巨匠と称され、多くのマンガ家たちからの尊敬を集めながらも、一面的に批評されがちな作品評価をくつがえし、コマ割りや描線、運動と時間の生成などマンガ表現の原理を検証しながら、その哲学性と芸術性の全貌を再評価する大著。充実した年譜と作品目録、書名・人名・語彙の索引を付す。
目次
第1章 楳図かずおの恐怖概念
第2章 わたしは真悟、内在する高度
第3章 子どもと暴力―「子供は遊んでばかりいたのかな?」
第4章 洗礼、その身体と記憶
第5章 ぬばたまの夢やは実在を思はする神の左手悪魔の右手―楳図かずおと世界の創造
第6章 タマミの御霊―『赤んぼ少女』と鎮魂の問題
第7章 楳図かずおのコマ割り理論
第8章 マンガにおける二つの省略―マンガ表現論の構造
第9章 ペコの左手アクマの右手―描線論、または松本大洋『ピンポン』における超越と内在
第10章 復刻の形而上学―版の概念をめぐるマンガの諸問題
第11章 イアラ、典拠と出来事、言葉と反復
著者等紹介
高橋明彦[タカハシアキヒコ]
1964年2月、新潟県生まれ。東京都立大学大学院博士課程退学。金沢美術工芸大学教授。専攻は日本近世文学・出版史、楳図かずお研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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