出版社内容情報
「父と子」を主要テーマにした阿部昭。父と彼を貫く共通項は「昭和」という時代の子たるを逃れられない事実──一つの戦争をめぐる時代の光と影。阿部昭の文学を「内なる時間」「過去」の発見のドラマとして跡づける、阿部昭論の逸品。
1 解き得ぬ心――晩年のエッセイから
2 ある構図――初期作品から
3 テレビ局時代――「月の光」「東京の春」
4 〈父〉を書くⅠ――「幼年詩篇」「未成年」
5 〈父〉を書くⅡ――「大いなる日」
6 あの夏あの海――「司令の休暇」
7 遠景――「川」「明治四十二年夏」
8 幼年感覚――「千年」「鵠沼西海岸」
9 〈時〉の貌――「桃」「沼」「子供の墓」
10 “父と子”の構図――「父と子の夜」
11 猫――「無縁の生活」
12 言葉と生活――「言葉ありき」「単純な生活」
13 死を孕む――「単純な生活」
14 「短編」の人生――「短編小説礼讃」
15 心の光景――「まどろむ入江」「花畑のある島」
阿部昭という“事件”――あとがきに代えて