内容説明
ジャコメッリ、古屋誠一、オノデラユキ、野口里佳、太田順一、石内都…。見る者の心を動かし、奪い、突き放し、温める写真を撮り続けている作家の作品が語るテーマ性を丁寧に読み解き、作品に浮かび上がる「生と死」「記憶」を照らす。
目次
写真の孤独―ジャコメッリと須賀敦子の出会いから
セルフポートレート―自己への眼差し
古屋誠一『M´emoires1983』と『冬の旅』
写真、“場”へのオマージュ―写真集『夕張』と『風知草』を巡って
八戸からのプロヴォーク―ICANOF「メガネウラMEGANEURA」展報告
宮本常一にとっての民俗学と写真―『宮本常一写真・日記集成』を見ながら
オノデラユキの写真的実験―オノデラユキ写真展/国立国際美術館
「この星」に見たもの―野口里佳写真集『この星』/写真展「飛ぶ夢を見た」
王権の及ばぬところの花、ささやき―太田順一写真集『化外の花』までの道
揺れる「carnation」―関美比古のこと
我が心の遺影―西井一夫氏への追悼文
溶断と溶接の境界―写真家石内都について
著者等紹介
伊勢功治[イセコウジ]
1956年、富山県生まれ。中央大学経済学部卒、桑沢デザイン研究所卒。グラフィックデザイナー、桑沢デザイン研究所非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金木犀
3
大学図書館で偶然手に取ったら、ずっと自分が写真に対して抱えていた想いと同じ内容が記述されていた。写真は孤独な創作であると感じていたが、ジャコメッリの作品においては孤独が源泉になっていることを知った。また、撮った瞬間に過去となる写真は遺影的特性から逃れられない。直接被写体に写していないにも関わらず、死や心の傷を描いた作家が多いのは写真が残酷性を内包しているからだろう。本書を読む中でノルウェイの森の「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」という一文が何度も頭を過った。自分でも買いたい一冊。2021/06/21
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