内容説明
「ニューミュージック・マガジン」などの1970年前後のオルタナティブな批評誌で展開された議論や論争を読み込み、ポピュラー音楽と社会状況との関係を明らかにする。音楽が“情況”や運動とどう対峙したのかを描くことで、戦後日本が抱える内なる他者や“アメリカ”の変容をあぶり出す。
目次
序章 “他者”の到来(問題設定;先行研究―領域ごとの先行研究の整理;本書の構成)
第1章 「音楽誌史」概観(一九六九年四月「ニューミュージック・マガジン」創刊;ジャズからビートルズヘ―「ミュージック・ライフ」(占領期―一九六五年)
「嗜み」から「愉しみ」ヘ―大阪労音、「うたうたうたフォークリポート」
一九六九年―「フォークリポート」から「ニューミュージック・マガジン」「新宿プレイマップ」へ
一九七九年の誌名変更
結びにかえて―ポピュラー音楽をめぐる現在の「情況」)
第2章 「ニューミュージック・マガジン」の一九六九年―七〇年前後のメディア環境(ポップの波打ち際―一九六九年の社会、経済、メディア状況;音楽メディアの新たな時代;「ニューミュージック・マガジン」の一九六九年)
第3章 雑誌メディアの“情況”と“運動”、“他者性”をめぐる問題―「ニューミュージック・マガジン」一九七〇―七四年(「覆刻」された創刊号―一九七〇年代初期の出版をめぐる情況;「ニューミュージック・マガジン」をめぐる“情況”;“他者”の変容―シンボルからシステムへ)
第4章 “情況”とサブカルチャー―雑誌「試行」をめぐる文化論的考察(サブカルチャーのなかの“情況”;「試行」創刊をめぐる“情況”;「試行」同人解散、単独編集に至るまで;“大衆化”への応答;“大衆化”とサブカルチャー―「周縁文化」の時代;“大衆化”とアイロニー)
第5章 雑誌と“敗北”―「試行」と「ニューミュージック・マガジン」、サブカルチャーのなかのアイロニー(二重の“敗北”―一九六〇年安保闘争;“敗北”とサブカルチャーの接続(1)
“敗北”とサブカルチャーの接続(2)
ジャズからロックへ―「ニューミュージック・マガジン」創刊前夜
一九六九年四月「ニューミュージック・マガジン」創刊
“敗北”という起点
“敗北”の記憶)
第6章 成長と運動の時代における“他者”の変容―オルタナティブなメディアはなぜ一九七〇年前後に生起したか(“アメリカ”の存在;一九七〇年前後という時代(1)―「六〇年安保」と「大学紛争」
一九七〇年前後という時代(2)―アメリカの対抗文化と「ベトナム反戦」
一九七〇年前後(3)―「テレビ、お前はただの現在にすぎない」
一九七〇年前後(4)―ベ平連の活動から生まれた「週刊アンポ」
考察
結論)
第7章 出版研究における“場”の理論導入の可能性―ブルデュー『芸術の規則』を手がかりに(問題設定―本章の射程;“場”の概念;“文学場”とは何か;雑誌の“場”―“場”の概念を応用する;“場”の概念を出版研究に導入する;結論)
第8章 雑誌のなかの“基地”表象―一九七〇年前後のメディア情況からの考察(問題設定―本章の射程;内なる“他者”―“基地”の表象;“他者”の変容;“運動”する雑誌;室謙二と中村とうようのやりとりからみる“他者”概念の変遷;結論)
終章 音楽雑誌と政治の季節(“アメリカ”という「問題」―ある作家の「転向」;江藤淳の苛立ちと村上龍の“転向”;「象徴」から「体制」、そして「敗北」のその後へ)
補論 北中正和氏インタビュー:音楽と批評―戦後日本のポピュラー音楽環境と「ニューミュージック・マガジン」をめぐって
著者等紹介
山崎隆広[ヤマザキタカヒロ]
1969年、群馬県生まれ。群馬県立女子大学文学部教授。専攻はメディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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阿部義彦
しゅん
hirokoshi
みんな本や雑誌が大好き!?