出版社内容情報
第2次世界大戦で親を失った戦災孤児・戦争孤児は、戦後70年にあたる2015年まで多くを語らず、「沈黙の半世紀」「沈黙の70年」を生きてきた。彼・彼女たちはなぜ沈黙してきたのか。これまでの人生で何を経験してきたのか。なぜいま、自らの足跡を語れるようになったのか。
これまで沈黙してきた戦争孤児の当事者たちにロングインタビューをおこない、浮浪生活、自殺を考えるほどの親戚宅での冷酷な処遇、教育にアクセスできない困難、就職の難しさ、家族をつくることの願いと拒否感など、これまで歩んだ生活実態を明らかにする。
戦争孤児が自らを語り、社会的な承認を求める契機になった東京大空襲集団訴訟などについての思いも聞き書きして、「戦争で親を失った子どもたち」が、抱え続けてきたスティグマとどう向き合い、自らの来歴をどのように語るのかを検証する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びっぐすとん
14
図書館本。8月は戦争に関する本を読むことを長年習慣にしていて、めっきり読書量が減ったけど、これだけは続けていきたい。1947年当時戦争で親を亡くした子供の数123,511人。清太や節子のように終戦直後に亡くなった孤児も相当だろう。親は生き残って欲しいと望んだ我が子がその後死ぬより辛い人生を歩むとは思ってもいなかっただろう。預かった親戚とて家族を養うのもやっとの中で他人を預かるのが大変だったのは理解できる。謂れのない差別や虐待に、早く死にたいからがむしゃらに働く子供の姿が読んでいて苦しかった。子供に罪はない2024/08/12
多津子
8
終戦後、親を亡くしストリートチルドレンとなった子供たち。その大半は普通の家庭で育ち、学童疎開などの間に空襲により家族を亡くした。戦争孤児だった人がその境遇を語れるようになるのは、戦後だいぶたってから。でもそれはごく一部で、配偶者にも話さないままの人も多い。何故口を閉ざしてきたのか。社会全体が大変な時期だったといはいえ、庇護者をなくした子供は弱い。彼らがどのような差別や偏見に遭ってきたのか。当時の社会状況と当事者のインタビューを照らし合わせて語られる。2024/08/03
ひらっち
1
火垂るの墓の出来事は戦後にこんなにも沢山いたのかと涙ながらに一気に読んでしまいました。研究論文のようでしたが、戦争孤児の方の聞き取り調査で生の話が載っていて胸が痛くなりました。 ウクライナに軍事侵攻したロシアの指導者も読んだ方が良い。戦争で辛い思いをするのは女性、子供なのだと改めて感じた。 2022/03/19