内容説明
日常生活の場であり、にぎわいと同時に猥雑さをも醸し出す路地裏=バックストリート。高度経済成長期からバブル期までの都市開発によって都市空間の片隅に追いやられたバックストリートとその周辺―公園・広場・雑居ビルなど―の変遷を、東京・大阪・札幌・広島・福岡をフィールドワークして描き出す。若者文化を育みサブカルチャーを発信する力や人材・コンテンツを創造する力をバックストリートに見いだし、コミュニティー形成を通じて地域を振興する機能があることを明らかにする。バックストリートとその周辺がもつ文化創出の可能性を浮かび上がらせる都市論。
目次
第1章 都市論でのバックストリート
第2章 東京における多様なバックストリートの変容
第3章 京阪神におけるメディアとバックストリートの関係
第4章 ポップカルチャー創出の場としての札幌のバックストリート
第5章 広島フォーク村から見えるバックストリートの機能
第6章 福岡におけるバックストリートの拡散
第7章 結語
著者等紹介
増淵敏之[マスブチトシユキ]
1957年、札幌市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。ソニーミュージックエンタテインメントなどを経て、法政大学大学院政策創造研究科教授。専攻は経済地理学・文化経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kthyk
17
「1960年代以降、都市と建築が文化を奪った。再開発とバブル、状況は東京だけではなく地方都市にも及ぶ」。筆者はパサージュ論にならい、東京の路地裏の文化を収集する。かって、アーティストは屯した。田端、馬込の文士村、落合、麹町六番町。再開発とバブル以前のサブカルチャーの街、下北沢。そこは経験もあるが人間同士の交歓の場。都市の役割は「祝祭と交歓」。都市とは文化的(生きる上に不可欠)な場であった。筆者は漱石から春樹に至る文学者を取り上げ、「個人の孤独な書斎や狭いアトリエのなかで形成されたものではなかった」と書く。2021/05/26
kozawa
1
サブカルとして「裏通り」渋谷で言えば百軒店、等に着目して、日本のサブカルの戦後(主に60年代以降?)を観ていく。京阪神、札幌、広島、福岡も取り上げていく。こういう切り口は興味深く読みはしました2013/03/09
メルセ・ひすい
1
サブカル、コミュニティを形成していた路地裏は、今また再創造・再発見されている。全国各地をフィールドワークして、路地裏がもつ活力、コンテンツ創造の可能性、地域振興の役割を再評価する。佐野元春「君をさがしている(朝が来るまで)」…女神のような街頭の光に さそわれながら 夜の小鳥たちはガードレールの上で 翼を休めている はるか彼方で声がする 誰を呼んでいるのか 朝が来るまで君をさがしている 陽の光をさけながら 栄えているこの街角で 夜の天使たちが 街のスターダムにのし上がる 一歩踏みだせば誰もがヒーローさ …2013/02/06
hisakodosu
0
街歩きや商店街歩きが好きなので興味が湧きました。懐かしい人やグループの名前が出てきたので若い筆者では書けないとも思いますが、学生が牽引してきた役割も大きいらしいので広島横川界隈は行ってみたい。2013/05/21
あば
0
具体例がたくさん挙げられていたが、世代が違うのかイメージつかなかった2024/03/02