少女少年のポリティクス

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少女少年のポリティクス

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  • サイズ A5判/ページ数 286p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784787232960
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「子ども」が少女と少年とに切り分けられたとき、何が起こったのか――。文学作品・読み物・雑誌・マンガに現れる少女少年の描かれ方を追跡して、メディアが「少年」や「少女」を生成するさまをつぶさに描き出し、少女少年表象の政治性を照らす。

はじめに 吉田司雄

第1部 明治前期における「少女」「少年」の生成

「女子の悲哀に沈めるが如く」――明治二十年代女子教育にみる戦略としての中世文学 榊原千鶴
 1 落合直文の戦略
 2 『家庭教育歴史読本』
 3 「静」という表象
 4 抗う力――「文学界」を手がかりに

「家庭の天使」としての子ども――若松賤子訳『小公子』のジェンダー 高橋 修
 1 新しい神話『小公子』
 2 『小公子』のジェンダー
 3 聖家族『小公子』

科学読み物と近代動物説話 吉田司雄
 1 理科少年の誕生
 2 動物読み物と観察者の眼差し

第2部 昭和モダニズムの変容と表象戦略

遊歩する少女たち――尾崎翠とフラヌール 飯田祐子
 1 フラヌール・銀座
 2 模倣と自己離脱
 3 墜落する歩く女
 4 ステッキガール
 5 尾崎翠の歩くこと

教室の社会関係――日本と植民地時代の朝鮮半島における革命的児童の文学表象 サミュエル・ペリー[島村輝訳]
 1 村山籌子「健康な女の子」とブルジョア的「知能」観の批判
 2 姜敬愛「月謝金」と植民地朝鮮の自主的教育運動

「少女」たちの「語り」のゆくえ――豊田正子『綴方教室』と太宰治「女生徒」 中谷いずみ
 1 綴方の「語り」と舞台版『綴方教室』
 2 鑑賞される「生地のよさ」
 3 「女生徒」のセクシュアリティ
 4 「からつぽ」な〈少女〉と太宰治の「青春」

第3部 総力戦期におけるメディアと子ども

少女小説から従軍記へ――総力戦下の吉屋信子の報告文 久米依子
 1 少女小説の戦略
 2 総力戦と女性従軍作家の登場
 3 「女性幼児虐殺」の現場
 4 仮構される連帯
 5 「共存共栄」の不可能性

「週刊少国民」における詩と写真の欲望 坪井秀人
 1 「週刊少国民」の成立とその性格
 2 大正期自由主義との切断/連続
 3 詩の言葉とヴィジュアリティ

断種と玉体――国民優生法と齟齬の〈帝国〉 中山昭彦
 1 国民優生法の成立過程
 2 家族国家観の干渉
 3 断種と家族国家観の齟齬
 4 玉体と国民の身体の接近
 5 『国体の本義』と『臣民の道』
 6 ベストセラーの内部に胚胎する齟齬
 7 家族国家観と齟齬
 8 家族国家観と生政治

第4部 現代マンガとジェンダーの最前線

愛を告げる者――萩尾望都の作品における〈鏡〉の機能 生方智子
 1 『半神』『イグアナの娘』――愛とジェンダーの葛藤
 2 『トーマの心臓』――〈子ども〉たちの愛

ぬけだすからだ――『最終兵器彼女』の世界構築と身体の変容 横濱雄二
 1 不連続な世界
 2 秩序と無秩序
 3 彷徨と二項対立
 4 聖なる恋愛
 5 恋する身体
 6 ぬけだすからだ
 7 新たな平面へ

内容説明

文学作品・読み物・雑誌・マンガに現れる少女少年の描かれ方を追跡して、メディアが「少年」や「少女」を生成するさまをつぶさに描き出し、少女少年表層の政治性を照らす。

目次

第1部 明治前期における「少女」「少年」の生成(「女子の悲哀に沈めるが如く」―明治二十年代女子教育にみる戦略としての中世文学;「家庭の天使」としての子ども―若松賎子訳『小公子』のジェンダー ほか)
第2部 昭和モダニズムの変容と表象戦略(遊歩する少女たち―尾崎翠とフラヌール;教室の社会関係―日本と植民地時代の朝鮮半島における革命的児童の文学表象 ほか)
第3部 総力戦期におけるメディアと子ども(少女小説から従軍記へ―総力戦下の吉屋信子の報告文;「週刊少国民」における詩と写真の欲望 ほか)
第4部 現代マンガとジェンダーの最前線(愛を告げる者―萩尾望都の作品における“鏡”の機能;ぬけだすからだ―『最終兵器彼女』の世界構築と身体の変容)

著者等紹介

飯田祐子[イイダユウコ]
1966年、愛知県生まれ。神戸女学院大学教員。専攻は日本近・現代文学

島村輝[シマムラテル]
1957年、東京都生まれ。女子美術大学教員。専攻は日本近代文学

高橋修[タカハシオサム]
1954年、宮城県生まれ。共立女子短期大学教員。専攻は日本近代文学

中山昭彦[ナカヤマアキヒコ]
1959年、山形県生まれ。学習院大学教員。専攻は日本近現代文学、日本近現代文化、日本映画(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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みどり

12
尾崎翠研究のため。歩くことは書くことの比喩だという見解が面白かった。「第七官界彷徨」で女の子たちが言葉を奪われている中、町子だけは詩を作ろうとする。彷徨し続けるということで町子は言葉を作り続けている。「こほろぎ嬢」は歩みを止めてしまった状態というのも納得できた。萩尾望都のテーマも面白かった。萩尾望都の世界では鏡の世界、すなわち子どもたちが伝える同じものへの愛、ナルシリズムに満ち溢れている。彼らの愛を異常、退行あるいはサブカルチャー故の偏向とみるのは安直だと書かれていて、この考えが広がるといいなと感じた。2017/10/29

くるり(なかむらくりこ)

3
「少女少年」これぞまさにポリティクス。青少年という言葉からわかるように、少年のジェンダーは少女という対義語なしに定義されない。少女と言う概念はそもそもが社会性と政治を内包している。個人的には、翻訳論的でもある高橋修氏の『小公子』のジェンダー論が興味深い。女性らしさというジェンダーの型(家庭の天使)がそのまま子供らしさにはめこまれるという指摘に納得。生方智子氏の萩尾望都論は、男女ではなく、同性/もうひとりの自分との対峙(鏡)がテーマ。自己の反映でもある鏡像は、なるほど愛と憎しみの鏡合わせでもあるのだ。2015/01/18

よっちん

0
図書館2017/05/22

aabbkon

0
中谷いずみ「「少女」の「語り」のゆくえ」が非常に面白かった。綴方が川端康成的な見方につながってしまうところ,文学がいかに「少女」に頼っているかを考えさせられる。2013/12/22

てまり

0
私がバカなのが悪いんですが、わかりづらい。2011/02/04

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