越境する近代<br> 凍える帝国―八甲田山雪中行軍遭難事件の民俗誌

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越境する近代
凍える帝国―八甲田山雪中行軍遭難事件の民俗誌

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  • サイズ A5判/ページ数 262p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784787220387
  • NDC分類 396.21
  • Cコード C0320

内容説明

日露戦争開戦前夜の一九〇二年。青森県・八甲田山で起こった雪中行軍遭難事件(死者百九十九人)は当時の社会に驚愕と悲嘆を巻き起こすと同時に、惨事への好奇のまなざしを生成し美談をも生み出していった。死者はどのように慰霊・顕彰されたのか。そしてこの未曾有の出来事の記憶は誰によって編集されていったのか。新聞報道や防衛省所蔵の公文書、聞き取り調査などからその経緯を丹念に追い、大日本帝国の形成期を問い直す。

目次

第1章 雪中行軍の歴史的背景と遭難の衝撃
第2章 陸軍と政府の対応、地域社会の反応
第3章 惨事への好奇心―見世物から映画へ
第4章 美談のイコノグラフィ
第5章 仮死の記念碑
第6章 遠い靖国
終章

著者等紹介

丸山泰明[マルヤマヤスアキ]
1975年、新潟県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。国立歴史民俗博物館機関研究員、東邦大学理学部非常勤講師。専攻は民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ちゃま坊

13
小説や映画で有名になった話を違った視点からも見てみる。森鴎外の寒帯衛生研究「防寒略説」というのがあるらしい。気象や医学は戦争と深くつながっている。2019/08/12

HANA

4
遭難自体ではなく、遭難が当時の社会や世論に与えた影響を論じている。この視点から事件を見るのは新鮮で教えられることが多い。当時でも199人が一気になくなるというのは大事件で、新聞や芝居が散々飯の種にするのは現代とあまり変わらない。本論の目玉の一つが靖国神社合祀問題。小説等で合祀されたと思い込んでいたため、合祀されていないというのは意外であった。神になるならないは意外とあやふやなのですな。2011/04/10

Naoya Sugitani

3
八甲田山の遭難事件で亡くなった人々は、靖国神社に合祀されたか否か。おそらくこの本の問いの一つの基軸はそこにあるのだと思う。結論を言えば、靖国には祀られなていない。だが、そこからなぜ祀られなかっただけでなく、なぜ祀られたという認識が広まったかにまで踏み込んでいるのは、民俗学者らしい著者ならではの視点と言えるだろう。遭難事件の衝撃をどう社会は受け止めたのかが緻密に描かれた本研究は、社会と軍と生死の在り方を考えるうえで極めて有意義と言えるのではないだろうか。2018/01/09

sendagi1130022

1
八甲田山雪中行軍遭難事件について、行軍隊は軍紀と忠孝を最期まで守ったとされる戦前の「正史」の史観と、それに反した徴兵忌避など民衆の「反抗」の史観、どちらの極端にも走ること無く、両面から、あるいはそれ以外の風俗・社会情勢・国際情勢などから多面的に観察した民俗誌書と言える労作。とかく新田次郎の「八甲田山死の彷徨」以外には目に触れる機会がない事件ではあるが、戦前の軍隊と国民との関係を垣間見る一例としてこの事件を位置づけることができる論考として有意義。2012/01/11

onepei

0
歴史の深さが実感できる。新田次郎の小説や映画を観た人にはぜひ。2010/07/07

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