出版社内容情報
子どもを食い殺して死刑になったブタ、破門宣告を受けたバッタ、悪魔の化身とされたサル、弁護人の力量で無罪を勝ちとったネズミ……。中世キリスト教社会でおごそかにとりおこなわれた「動物裁判」が生んだ悲喜劇の実態と論理を描出する。
序文
フォン・アミラ
ダドシオ
悪魔のしわざか、神の鞭か
悪魔が憑いた家
魔に魅入られた牝牛
正しい処刑がなされないと不浄を生む
動物の人間化
動物への刑罰は悪魔への刑罰
教会の頑迷
現代の法学の問題点
豚の処刑を描いた壁画
1 ネズミたちの弁護人
ワルド派裁判
シャスネの業績
昆虫を裁く根拠
博引旁証
イチジクの木にアナテマを施す
伝説を証拠として使う
教会のもつ呪術的な力
この動物は聖職者か?
懲罰か予防か
2 昆虫の亡命地
昆虫への警告
コクゾウムシ裁判
神の鞭
メネブレアの意見
残酷な司法感覚
再審議
昆虫の権利
昆虫は人間に従属する
昆虫のための亡命地
かじり取られた審議結果
裁判費用
昆虫の権利とアナテマの威力
法の外にいる昆虫
神の遣いとしての昆虫
3 悪魔憑きの動物
天使博士
悪魔の受肉
甘き薫りの動物と、悪臭ふんぷんたる動物
アヴェスタ
不完全な自然
悪魔の化身
聖水づくりの呪文
動物は、機会仕掛けか、悪魔憑ル
合理的なプロテスタント
色褪せた悪魔祓い:拝啓ネズミ様
水という障壁
アイルランド
フランス
護符
ネズミを追放する呪文
古代の倫理:よそへ行け!
5 四足獣の裁判
連綿とつづく動物裁判
火刑や生き埋め
拷問をおこなう理由
報復原理
消えた壁画
処刑費用
人間と豚はおなじ扱い
豚たちの受難
豚は裸で
残酷な死刑執行人
獣姦への刑罰
無罪となった雌ロバ
減刑は人獣平等に
ユダヤ法が基本
ユダヤ人は獣である
没収された子豚たち
所有者には責任はない
豚の犯罪
放し飼いだった豚
そのほかの四足獣:牝牛
卵を産む雄鶏
コカトリスの卵
経済的理由による減刑
悪魔の豚
ラシーヌのパロディ
目には目を
処刑した動物の肉は食べるな
牛と狂人
6 無生物への刑罰
剣や銅像への刑罰
無生物への刑罰
偶像
鐘
狂犬病
アヒルと犬
反逆罪
みな殺しの法律
人類みな罪人?
報復原理
境界石
内に潜む暴力性
陪審制廃止論
デ
目次
第1章 ネズミたちの弁護人
第2章 昆虫の亡命地
第3章 悪魔憑きの動物
第4章 アナテマの力
第5章 四足獣の裁判
第6章 無生物への刑罰