内容説明
メルロ=ポンティの美術論・芸術論を導きの糸に、「奥行き」や「同時性」という概念に着目して主要テクストを緻密に読み解き、二つの概念の絡み合いを彼の思想に位置づけなおす。哲学に限らず芸術にも越境するメルロ=ポンティの美学の深奥とポテンシャルを指し示す。
目次
第1章 『行動の構造』『知覚の現象学』での奥行きと同時性
第2章 制度論での奥行きと同時性
第3章 “自然”“存在”の思想史講義での現在と過去の関係
第4章 肉の概念と知覚における想像的なもの
第5章 “存在”の概念と奥行き、同時性
補論 メルロ=ポンティの美術論―奥行きと運動における同時性
結論
著者等紹介
川瀬智之[カワセトモユキ]
1971年、神奈川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程美学芸術学専攻修了、博士(文学)。東京藝術大学美術学部芸術学科准教授。専攻は美学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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「肉」は奥行の直接的再現ではなく、見る者と見られるものが絡み合う世界内存在の構造を示す。「奥行」は量感やマッス、レイヤーの重なりとしてではなく、可視的なものが立ち現れる「現象のしかた」そのものとして示される。それは身体と自然の相互浸透という知覚的な参与の運動。セザンヌの絵画は、彼が身体を通して感知した環境=世界の構造を、視覚的次元において再演可能にする装置だ。そこでは対象それ自体ではなく、存在がどのように立ち現れるかという生成の様態が描写される。事物の外形ではなく、存在の〈あり方〉そのものだ。2026/03/02




