内容説明
アガンベンの著書を翻訳して広く紹介している第一人者の論文や、訳書に寄せた解題、書評、発表、コメント、スピーチなどを集成した、アガンベンの思想を理解する入門書であり、同時に、アガンベンの思考を借りて現代の文化や政治を考える最良の哲学レッスンの書。
目次
「収容所時代」の生政治を問う―ジョルジョ・アガンベンの政治哲学(二〇〇〇年)
ジョルジョ・アガンベンの政治的思考―『人権の彼方に』から出発して(二〇〇〇年)
その他の人々を見抜く方法―ジョルジョ・アガンベンと藤子・F・不二雄(二〇〇四年)
バートルビーの謎(二〇〇五年)―デリダとバートルビー(二〇〇四年)
マーティン・ルーサー・キング,ジュニアの時間(二〇〇六年)
剥き出しの生と欲望する機械―ドゥルーズを通して見るアガンベン(二〇〇八年)
フーコーとアガンベン―奇妙な文献学者の系譜(二〇〇八年)
アガンベンとイメージ―『ニンファその他のイメージ論』への解説(二〇一五年)
『ホモ・サケル』、『例外状態』、新安保法制(二〇一五年)
著者等紹介
高桑和巳[タカクワカズミ]
1972年生まれ。慶應義塾大学理工学部准教授。専門はイタリア・フランス現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おっとー
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アガンベン訳者の作品集成。過去の著作の寄せ集めだが、個人的には『到来する共同体』でつまづいていたアガンベン理解の助けとなった。現代という収容所、例外状態、バートルビー…ある程度のエッセンスはこの本で抑えることができる。さらには『T・Pぼん』の考察やキング論など、著者独自のアガンベン解釈も興味深い。キング論とアガンベンは関係ないようにも思えるが、キングの獄中手紙の「いまでなければ」という訴えは、アガンベンの「いま」を重要視する感覚と通底している。到来する共同体は到来している(けれど表出していない)のだ。2016/06/16