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内容説明
押井守は「大戦間期」あるいは「戦争と戦争の間の時期」の作家ではないか―。この刺激的な仮説のもとに押井監督の作品群をあらためて読み込み、テクストそのものの無意識を探る。ポストモダン以降の文化や表現のとがった部分がモダンそのものに内在しているというプロセスを掘り起こし、閉塞する現実、滅びゆく日本の社会と文化に「抜けない棘」のようにはたらきかける批評の挑発。
目次
序章 犬と狼の間で
第1章 アニメとしての映画、映画としてのアニメ―「作家」も「ジャンル」も投げ捨てろ
第2章 アニメ的オートマトン―息を吹き込まれた自動機械/人形としてのアニメ
第3章 犬人は狼男の夢を見ない
第4章 転回のメタルスーツ
第5章 荒野のおおかみ
著者等紹介
上野俊哉[ウエノトシヤ]
1962年、宮城県生まれ。和光大学表現学部総合文化学科教授。専攻は社会思想史、文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
3
言ってることとやってることが違うのではないだろうか。押井守は自分のようなぬるオタにとってはハマる対象ではないものの、その稀有な異形性は十分に伝わる。後継者たちが軒並み押井的なインパクトをもち得ていない事が逆説的にもそれを示している。著者はしかし、そういったアニメ史的なことを論じることに興味がないのだろう。押井作品を読み解くことで哲学的言説を分かりやすく解釈していく、というコンセプトなはずなのに、結局哲学的・文学的言説をうだうだ述べる途中に場当たり的に押井作品について言及しているようにしか読めなかった。2015/08/12
ルヴナン
1
ハリアーをフランス製と書いたあたりで気分的に腐る。『紅のメタルスーツ』で通用していことが通用していない、『イノセンス』以降己の感性と世界観をフィルムに反映させられなくなった映像作家を語る困難を思い知らされる。実写版パトレイバーについても何か言えよ、と悪い顔をしながら本を閉じる。2018/09/18
ぷほは
1
もはや腹も立たなくなってきたが、その代わり読んでると具合が悪くなってきた。2015/12/28
しゃけぞー
0
押井守の作品を通して押井守を哲学するというより、押井作品のエッセンスから哲学的発見を見出そうという書物であった。このスタイルは押井的な考えで言うところの「映画的無意識」をイメージしているのだろうか。変に考察めいた感じにするよりこっちのほうが肩肘はらずに読めて良い。2024/11/17
金北山の麓に生まれ育って
0
【押井守が好きななんだなぁ、伝わってきました】思想家の伝記で初見、う~んおぉ押井?と手に取った。押井守ファンが手に取ったらなんだこれ?押井をダシに勝手な自己満足だと多くの人は思うのではないかと思いますが、まぁそうですが、筆者が押井守が大好きなのは伝わってきます、そういう想像力なり広がりを持ってる押井守の良さが逆説的に伝わる本ではないかと思います。褒めてるのかけなしてるのかよく自分でも解らないですが。残念ながらヘッセは読んでないので荒野の狼はついていけなかった~読んでみようと思います。2022/04/10