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目次
藤村詩集(抄)
桜の実の熟する時
前世紀を探求する心
海について(総題「夏の山水大観」)
歴史と伝説と実相
回顧(父を追想して書いた国学上の私見)
著者等紹介
島崎藤村[シマザキトウソン]
明治5年、長野県に生れる。木曽街道は馬篭宿の本陣だった旧家の出で、明治学院に学ぶなかでキリスト教の気吹にふれるまま受洗するが、明治26年に「文学界」が創刊されるのに北村透谷らと参加、同誌に新体詩を寄せる頃から詩人としての貌を次第に鮮明にし、同30年に刊行の第一詩集「若葉集」は、新時代の青春を瑞々しい詩情に調べた、近代詩の一達成とする。その後散文も試みるようになると、自然主義の影響下に、いわゆる部落問題を扱った「破戒」を同39年に世に問うて小説家としての地位を築き、「春」「家」あるいは「新生」等の自伝的な作品において自己の省察につとめる時期を経て、近代日本の形成を背景にして父祖の多難に満ちた足跡を歴史小説に作る長篇「夜明け前」の構想を筆に移すのは昭和4年で、同10年に業を畢えるまで七年を要したそれは、作者の名を不朽なものとした。続く大作「東方の門」の稿を進める途中の同18年に歿
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感想・レビュー
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ダイキ
5
大学図書館。この藤村集の目玉はやはり(父を追想して書いた国学上の私見)という副題の付いた「回顧」でしょう。島崎藤村という人は『春』の結末の「自分のやうなものでも、どうかして生きたい」という事を終生願い続けたのではないか。人生のうちに魂を縦横無尽に天地に躍動させ得た北村透谷の様に、引いては父を始めとする国学者達の様に、その末は自殺、狂死、或いは衰退であったとしても、彼等の様に「生きたい」と願い続けたのではなかったか。しかもそれは自分には不可能なのだという事の悲哀が、『若菜集』には既に漂っているのであります。2016/06/13
愁
5
「藤村詩抄」「桜の実の熟する時」は他にいくらでも読む機会がありますが、その他、国学に関する随筆は、文庫で読むならこの近代浪漫派文庫か、岩波文庫になります。父の考えに接近してからの藤村の国学に対する姿勢を感じ取れ、他の随筆とはまた別の興味を惹かれます。なんだかんだで「家」や「血」は後代に引き継がれていく様ですね。2015/05/05
syota
3
「近代浪漫派文庫」中の一冊。内容は、藤村の学生時代から22歳までを描いた自伝的小説「桜の実の熟する時」が200頁、「藤村詩集(抄)」が100頁。「桜の実」は学生時代の記述が盛り上がりに乏しく我慢しながら読んでいたが、卒業後は一転してテンポが良くなり、風呂に入るのも忘れて読みふけってしまった。小説としての纏まりには難があるが、「三四郎」や「青年」とはまた違った明治時代のナマの青春ドラマが描かれている。また「藤村詩集」は、抜粋とはいえかなりボリュームがあって楽しめた。やはり定型詩は声に出して口ずさむと心地良い2014/09/30