内容説明
左翼的な政治平和論議が横行支配する時代に抗して、近代戦に敗れた意味を反省し、平和の礎は東洋的生産生活と無抵抗精神への回帰にしかないと問答体で訴えた文章。併録する「明治維新とアジアの革命」は、維新の精神がアジアに及ぼした影響を論じながら、自律すべきアジア像を提示した文明論・アジア論で、昭和三十年の稿を初出とする。
目次
絶対平和論(「絶対平和論」刊行趣旨;絶対平和論;続絶対平和論;続々絶対平和論;絶対平和論拾遺)
明治維新とアジアの革命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
6
戦後、保守派による平和擁護論と明治維新論を収録。非論理的。夢を読むように要約すると、9条を部分的に擁護だか、近代(これの定義が不明)は戦争がつきものなので、生活を近代化していく風潮に懐疑を示し、農民生活を擁護し、稲作文化を共有するアジアと連帯せよという感じだと思う。現代において読む意義はないと思う…2016/02/06
ダイキ
1
初の保田與重郎。グローバリズムが世間一般に美とされる現代に生まれ、生きている私にとって、「我々は人類の一員であるまへに、一人の日本人だ」という一節は衝撃的であった。保田は平和を得るために西洋が生み出した「近代文明」を否定し、それを破壊するのではなくただ放棄し、そして、アジアの精神への回帰を呼びかける。近年は多くの日本人が「近代文明」である欧米文化を貴び、我国の文化を蔑ろにしてきた。然し時代は変わってきた。多くの若者達が我国の文化を貴び、欧米文化に疑問を抱き始めた。そんな今だからこそ読まれるべき名著である。2014/06/18
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