出版社内容情報
《内容》 本書では,まず歴史的に鍼灸がたどった足跡を述べることで,現在の鍼灸の置かれた立場を明らかに,あわせて今後鍼灸が進むであろう方向について考察を加えます.呪術としての「いぶし」と,痛いところを押さえ,焼灼するという思いからまず灸が生まれ,次に紀元一世紀から鍼が急速に発達して,その理論を踏まえた薬理学,さらに漢方薬の使用が始まったといわれます。これらは,「未病を治す」という原則から言っても,現代の予防医学に通じるものがあります。このような観点から,本書では鍼灸の成り立ちから,近世に至るまでの経過を振り返りながら,明治以後,欧米から導入された医学の立場からみて鍼灸の本体の解明に力を尽くした人々の業績を挙げて記述しました.後半は,鍼灸がどこまで科学的に説明できるのか,つまりツボの正体はどのように考えられているか,また鍼灸で痛みが抑えられるのはなぜかといった問題を,医科学的に解説しています。本書が,医科学からみた鍼灸,医科学の中での鍼灸の存在意義の理解に多少でも役立てば幸いです. 《目次》 第一部 鍼灸の歴史 11章 現代の鍼灸の役割 32章 紀元前の鍼灸 7 1 灸の起源 8 2 灸と艾 10 3 世界最初の診療簿 11 4 馬王堆のミイラは語る 13 5 気とはどのようなものか 153章 漢代以後の鍼灸 17 1 最古の中医学書 -黄帝内経 18 2 陰陽五行説 24 3 経絡 26 4 五臓六腑の働き 46 5 病気の原因 53 6 診察法 55 7 証について 57 8 東洋医学の治療原則 654章 日本の鍼灸 67 1 日本への伝来 68 2 日本の鍼灸の歴史 69 3 明治以降の研究 74 4 近年の医学的研究 84 第二部 鍼灸の科学 995章 痛みを抑える鍼灸 101 1 ツボの正体 102 2 ペインクリニック 111 3 鍼灸で痛みが抑えられるのはなぜか 1136章 鍼灸は全身に働く 127 1 鍼灸した組織の反応 128 2 皮膚の表面温度の変化 138 3 脳波と鍼灸 143 4 胃酸分泌と鍼灸 147 5 炎症と鍼灸 150 6 免疫と鍼灸 1527章 まとめ 163 1 鍼灸医学は世界の関心を引いている 164 2 漢方から蘭法へ 164 3 戦争直後の鍼灸医学の受難とその後 165 4 二一世紀へ向けての鍼灸のあり方 169
目次
第1部 鍼灸の歴史(現代の鍼灸の役割;紀元前の鍼灸;漢代以後の鍼灸;日本の鍼灸)
第2部 鍼灸の科学(痛みを抑える鍼灸;鍼灸は全身に働く)