内容説明
フグ毒についてのわたしたちの知識の展開は、じつは化学・生物・微生物の三つの異なる分野にまたがる研究によって生まれたものです。フグ毒をめぐるなぞを追及する道で、研究者は、はじめ海の動物たちに、ついで微生物たちに出会い、ついに、それらの生物が網の目のようにからみあっている「海の生態系」に引き入れられることになります。海にひそむフグ毒のなぞを解く中で、研究者たちが歩いてきた道を、わたしたちはこれからたどってみましょう。
目次
ゾンビ伝説(よみがえった死者たち;ゾンビパウダー―起死回生の薬;論争はつづく―科学か非科学か)
フグと毒(フグを食べる民族;フグ毒の本体;フグ毒のはたらき)
フグ毒をもつ仲間たち(厚化粧のカエルとイモリ;海の動物たち;動物たちにとってのフグ毒の役割;フグはフグ毒に強い)
フグはフグ毒をつくらない(群れの多くは毒の弱いフグ;養殖フグは安全?;フグの毒はどこから)
だれがフグ毒をつくったか(食物連鎖を追う;探索の目はバクテリアに;フグ毒をつくる細菌;多くの細菌がフグ毒をつくる)
細菌にとってフグ毒とは(むだに毒をつくるだろうか;考えられるフグ毒のはたらき)
フグ毒の起源(なぞを解くかぎは海底に;フグ毒の起源をたどれば)
海の細菌のつくるもの(問題はひろがる;豊かな海の遺伝子源;マリンバイオテクノロジーとの接点)