内容説明
自然界を彩る色素の中で、カロテノイドが占める割合は多く、多種多様である。植物の光合成や動物の視覚に必要不可欠であるほか、抗酸化、抗腫瘍、免疫の賦活化など、さまざまな機能が注目されており、現在まで、天然から750種以上のカロテノイドが単離され、構造決定されている。本書は、動物、植物、微生物等におけるカロテノイドのさまざまな機能と生理活性を中心に、基礎的な反応機構や天然での分布、分離・分析方法まで、カロテノイド全般をわかりやすく紹介する入門書である。本書に出てくるカロテノイドにはすべて統一番号を記し、巻末にその名称と構造式を一覧にすることで読者の便宜を図った。また、半体系的命名法やおもなカロテノイドの吸収スペクトル、参考書籍やホームページ、市販されているカロテノイドの一覧、各種の索引など、付録も充実させた。
目次
1 カロテノイド(研究の歴史;日本における研究の歴史 ほか)
2 植物における機能と生理活性(光合成系における生理機能;保護作用 ほか)
3 動物における機能と生理活性(生理作用;吸収と代謝)
4 生合成経路とその遺伝子(生合成の初期段階;原核光合成生物の生合成経路とその遺伝子 ほか)
5 分離・分析方法(抽出・精製方法;同定方法 ほか)
付録
著者等紹介
高市真一[タカイチシンイチ]
1951年神奈川県に生まれる。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本医科大学助教授、理学博士。カロテノイドの分析、同定が中心で、扱う生物が微生物、植物、動物と拡がってきている。また国内外の研究者と、生合成経路、生合成遺伝子と酵素の性質、物理化学的性質、生理的機能、応用利用などの共同研究を行っている。カロテノイドのデータベースの追加や更新も行っている
三室守[ミムロマモル]
1949年福岡県に生まれる。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。基礎生物学研究所助手、同助教授、山口大学理学部教授を経て、京都大学大学院地球環境学堂、京都大学大学院人間・環境学研究科教授(両任)、理学博士。日本光生物学協会会長
富田純史[トミタヨシフミ]
1948年福岡県に生まれる。九州大学大学院農学研究科博士課程修了。久留米大学大学院助教授、宮崎大学大学院助教授、鹿児島大学連合大学院助教授、南フロリダ大学客員教授を経て、九州共立大学大学院教授、医学博士・農学博士。カロテノイドの生体防御機能・母子栄養・疾病予防における役割、ヒトを含む哺乳類での代謝、などを内外の研究者と共同研究を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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