出版社内容情報
《内容》 細胞遺伝学は,分子生物学の著しい発展によって,形態学的基礎をもちながらも,分子細胞遺伝学ともいうべき新しい流れとなって急速に発展してきた. 本書では,特に4つの領域について,現在第一線の指導的立場にある研究者たちに分担執筆して頂いた. この分野を学ぶ学生や研究者たちにとって,現状の知識の概観のみならず,科学的な,生物学的な,遺伝学的な思考の手立てとなることを期待している. 《目次》 1.減数分裂の形態と分子機構 1・1 減数分裂の開始 4 1・2 減数分裂の誘導 6 1・3 減数分裂の一旦停止と再開 12 1・4 相同染色体の対合 19 シナプトネマ構造/酵母を使っての研究/対合期染色体の構造/対合と組換えの特殊例/組換えなしの相同染色体対合 1・5 相同染色体間の組換え 33 組換えのモデル/人工染色体を使った解析/組換えに必要な相同領域の長さ/組換えとRNA 1・6 減数分裂における染色体の分離 572.X染色体の不活性化をめぐって 2・1 X染色体不活性化現象(XCI)の発見 65 2・2 不活性X染色体の性質 67 DNAの晩期複製/クロマチン構造 2・3 マウスの一生におけるX染色体の活性変化 71 マウス初期発生における細胞系譜/胚体外部におけるXCI/エピプラストにおけるXCI/生殖細胞におけるXCI 2・4 XCIの必要性 81 2・5 XCIのコントロール 83 XCIに関する法則性/Xicの局在性/XCIの広がり/XCIを免れる遺伝子/X染色体のインプリンティング/DNAのメチル化/Xic候補としてのXIST遺伝子 2・6 XCIのin vitroモデル系 100 ECCにおけるXCIの誘導/ECCとの細胞融合による不活性Xの活性化 2・7 Genomic imprinting とXCI 104 2・8 XCIのモデル 1073.性の文化と性染色体の進化 3・1 性染色体発見の歴史 113 3・2 体細胞全部が決定する性と性腺細胞だけが決定する性の根本的な違い 115 3・3 鳥類にジナンドロモルフが存在したという報告に基づいた実験 118 3・4 Sxr突然変異とXX雄 120 3・5 X染色体上Tfm遺伝子と哺乳類の第二次性徴決定機構 123 3・6 XTfmXSxr(Tfm Blo/++Sxr)マウスもアンドロジニイ(ジナンドロモルフ)にはならないという事実 126 3・7 生殖細胞には性決定能力はないという事実 129 3・8 睾丸のセルトリー細胞と卵巣の胞細胞および睾丸のライデッヒ細胞と卵巣の間質細胞 132 3・9 魚類にみられる自然の性転換 133 3・10 哺乳類Y染色体上の睾丸決定遺伝子 134 3・11 睾丸誘導に関与するX染色体上および常染色体上の遺伝子 136 3・12 Y染色体の矮小化によるXY間の相同性喪失 138 3・13 人類X染色体は哺乳類の原型を保っているという事実 142 3・14 X染色体万代不変の理由 1484.染色体異常とがん関連遺伝子-造血器腫瘍を中心に- 4・1 がんの細胞遺伝学の歴史 157 黎明期/病型特異的染色体異常の発見/染色体異常の表記法/ヒト遺伝子地図の作製/細胞がん遺伝子の発見/染色体転座とがん遺伝子の活性化/がん抑制遺伝子の発見/がん発生の統合的理解 4・2 リンパ種・白血病における染色体転座 176 B細胞リンパ腫・白血病における染色体転座/T細胞リンパ腫・白血病における染色体転座/骨髄性白血病における染色体転座 193 4・3 リンパ腫・白血病における染色体欠失とHSR・DM 206 染色体欠失/遺伝子の増幅(HSR・DM)
内容説明
本書はこのような大学学部学生に対して、現代の遺伝学について、重要な基礎的現象や理論から、最近の新しい進展までを含めて、総括的に理解できるように解説し、将来、これらの知識を基礎として、有能な研究者として、また社会人として属目される人材教育の可能性を期待して企画した。
目次
1 減数分裂の形態と分子機構
2 X染色体の不活性化をめぐって
3 性の分化と性染色体の進化
4 染色体異常とがん関連遺伝子―造血器腫瘍を中心に