出版社内容情報
《内容》 生物はその環境変化を刺激として受容し,反応することによってその生存を可能にしている.筋肉運動のようなマクロな運動から,細菌や動植物の精子など顕微鏡下の運動,植物の屈性や傾性などの運動など,その種類はさまざまである.また生物が成長し子孫を残すためには細胞が分裂する必要があるが,この過程には染色体運動と細胞質分裂という二種類の細胞運動が関与している.このように,細胞運動は生物の個体維持の身なら図,種族維持においても中心的な役割を果たしている.本書は,そのようなさまざまな細胞の運動を,おもに運動力の発生の機構の観点からまとめて解説したものである.できるだけ古典的な内容から最新の情報までを含めてある. 《目次》 1.滑り運動の分子機構 1・1 細胞骨格 1 1・2 アクトミオシン系 2 アクチン/アクチン調節タンパク質/ミオシンII/ミオシンI/アクチンとミオシンの滑り運動/滑り運動の機構/滑り運動速度 1・3 微小管系 13 微小管/ダイニン/キネシン/微小管系の滑り運動/微小管系の阻害剤2.筋収縮 2・1 骨格筋 18 骨格筋の構造/収縮の分子機構/神経による制御/骨格筋の活動電位/活動電位による収縮の制御/Ca2+による滑り運動の制御/筋収縮のエネルギー源 2・2 心 筋 33 心筋の構造/収縮の制御/心筋の活動電位/収縮の発現 2・3 平滑筋 36 平滑筋の構造/平滑筋の活動電位/収縮の発現 2・4 軟体動物の筋肉における制御機構 40 2・5 筋収縮のCa2+制御の機構 413.鞭毛・繊毛運動 3・1 鞭毛と繊毛 43 3・2 微細構造 45 3・3 力発生の機構 46 3・4 滑り運動の機構 49 ダイニンと微小管の滑り運動/外腕と内腕 3・5 滑り運動の屈曲運動への変換 52 3・6 鞭毛運動の活性化 564.細胞内輸送 4・1 原形質流動 59 流動力発生の機構/ミオシン運動の解析系としてのシャジクモ類細胞/原形質流動のCa2+制御 4・2 軸索内輸送 71 軸索内輸送の種類/軸索内輸送の分子機構 4・3 魚類の色素胞におけるクロマトソームの輸送 77 色素胞の種類/運動の制御/クロマトソームの運動の機構5.アメーバ運動 5・1 真性粘菌の変形体の運動 87 変形体/流動力の発生機構/収縮に伴う形態的な変化/収縮の分子機構/周期運動の発現 5・2 後部収縮説と前部収縮説 96 5・3 小型アメーバにおける研究 996.細胞の分裂 6・1 体細胞分裂の過程 103 6・2 染色体の運動機構 105 微小管の極性/前中期の染色体運動/後期Aにおける染色体運動/後期Bにおける紡錘体の伸長 6・3 細胞質分裂 110 動物細胞/植物細胞7.単細胞生物の行動 7・1 ゾウリムシの回避反応と逃避反応115 回避反応/逃避反応 7・2 走光性 118 光驚動性/光集合性/走光性/走光性の機構 7・3 細菌の走化性 122 鞭毛の構造/運動機構/化学物質の受容/情報伝達との反応の様式 7・4 ツリガネムシの運動 1268.膨圧運動 8・1 植物における運動の種類 128 8・2 膨圧とは 129 8・3 気孔の運動 130 8・4 葉枕運動 131 就眠運動/オジギソウの運動 8・5 捕虫運動 134 食虫植物/ハエジゴクの捕虫反応参考文献 137/索 引 138
目次
1 滑り運動の分子機構
2 筋収縮
3 鞭毛・繊毛運動
4 細胞内輸送
5 アメーバ運動
6 細胞の分裂
7 単細胞生物の行動
8 膨圧運動