出版社内容情報
《内容》 生命を科学の分野から理解するためには,生体成分はどのような化合物から成り立ち,どのような役割をもつのか,生体物質はどのように変化していくのか,と一つずつ知識を積み重ねることが大切で,すでに多くの化学者・生化学者の研究成果がある.本書も1部,2部でその道順をたどるが,それだけでは生命は理解できない.たとえば子は親に似る,一度ハシカに罹れば二度と罹らない,牛肉を食べても牛ではなく人の体になる,こんな一見当たり前のことも生体情報システムの働きを知らないと理解できない.このシステムを支える情報分子の構造と機能も急テンポで解明されている。3部では,分子生物学といわれるこの分野に焦点をしぼった. 本書の目的は生化学のアウトラインを紹介することにあり,大学初年級の基礎化学知識で理解できる内容から話を進めた。生化学の進歩は著しく生化学書は出版と同時に老化を始める。本書は,最先端の紹介よりも評価の定まった基礎を中心にしたので,数年は通用するものと考えている。画期的な“新発見”がその後の研究で否定されることもあり,その紹介はテキストブックとして慎重にすべきだと考えたからである。生化学や分子生物学の最先端情報は雑誌やテレビなどで紹介されることも多いが,これを正しく理解し,場合によっては批判的に読み取れるようなバックグラウンドを身につけることは,現代社会に生きる人々の必須な教養であろう。本書によって生化学,分子生物学の基礎を理解し,さらに進んで興味をもっていただければ幸いである。 《目次》 I 生物体の構成要素1 生物と非生物 12 生体を構成する物質:有機化合物 2・1 生体低分子 4 2・2 生体高分子 103 多糖 3・1 単糖 11 3・2 多糖 154 タンパク 4・1 標準アミノ酸 20 4・2 ペプチドとペプチド結合 22 4・3 アミノ酸側鎖の性質 24 4・4 タンパクの一次構造 27 4・5 タンパクの二次構造・三次構造 29 4・6 ドメイン 36 4・7 タンパクの四次構造 36 4・8 タンパクの役割 375 核酸:DNAとRNA 5・1 核酸の構成単位 39 5・2 ポリヌクレオチド 42 5・3 DNAの構造 44 5・4 RNAの構造 476 生命の原動力:自由エネルギー 6・1 化学平衡と自由エネルギー変化 51 6・2 自由エネルギーを使う生体プロセス 53 6・3 自由エネルギーの担い手:ATP 53 6・4 ATPの再生 547 細胞 7・1 細胞の内と外 57 7・2 浸透圧 57 7・3 原核細胞 59 7・4 真核細胞 60 7・5 生体膜 63 7・6 膜輸送 64 7・7 エンドサイトシスとエキソサイトシス 66II 代謝8 酵素 8・1 酵素の基質特異性 67 8・2 酵素反応速度 69 8・3 酵素反応の最適条件 73 8・4 酵素の可逆阻害 74 8・5 酵素阻害の意義 76 8・6 酵素の共有結合修飾 76 8・7 酵素の触媒メカニズム 77 8・8 酵素の分類9 糖代謝 9・1 糖の消化と吸収 84 9・2 解糖 85 9・3 糖新生とグリコゲン合成 91 9・4 アルコール発酵 9310 クエン酸サイクルと呼吸 10・1 ピルビン酸の酸化分解 95 10・2 クエン酸サイクル 99 10・3 呼吸と可逆阻害 100 10・4 グルコース分解によるATPの生産 102 10・5 オキサロ酢酸の補充11 脂質代謝 11・1 乳化,消化と吸収 104 11・2 脂肪酸のβ酸化 105 11・3 糖代謝と脂肪酸代謝のATP生産効率 108 11・4 ケトン体 108 11・5 脂肪酸合成 111 11・6 中性脂肪とリン脂質の合成 112 11・7 スフィンゴ脂質 114 11・8 コレステロール合成 11412 アミノ酸代謝 12・1 タンパク質の消化と吸収 118 12・2 脱アミノとアミノ転移 119 12・3 2-オキソ酸の代謝 122 12・4 アミノ酸の相互変換と必須アミノ酸 123 12・5 尿素サイクル 12513 ペントースリン酸経路 13・1 NADHPの生成 127 13・2 糖リン酸の相互変換 12814 光合成と窒素固定 14・1 光合成の明反応 131 14・2 暗反応:光合成における炭素の経路 134 14・3 植物体成分の合成 136 14・4 窒素固定 13715 各種生体物質の合成 15・1 生理活性アミン 141 15・2 ヘム 142 15・3 ヌクレオチド 144III 情報伝達16 遺伝子の本体 16・1 遺伝子概念の変遷 153 16・2 DNAのパックキング 157 16・3 DNAの複製 159 16・4 DNAの修復 164 16・5 DNAの多様化 16717 タンパク合成 17・1 遺伝情報の流れ 171 17・2 転写 172 17・3 翻訳 177 17・4 遺伝暗号 183 17・5 遺伝し発現の制御 187 17・6 タンパク質の化学合成 19318 遺伝子工学 18・1 組み換えDNAとその技術 198 18・2 塩基配列決定法 203 18・3 組み換えDNAの応用 20719 細胞と情報 19・1 細胞間の化学的伝達 211 19・2 ホルモン 219 19・3 神経 226 19・4 免疫 231
内容説明
本書は生化学のアウトラインを紹介。大学初年級の基礎化学知識で理解できる内容から話を進めた。最先端の紹介よりも評価の定まった基礎を中心にした。
目次
1 生物体の構成要素
2 代謝
3 情報伝達