出版社内容情報
物理学を系統的に勉強し始める際に、発展的な内容を学習する段階で用いられる数学的技能が、“最初に学ぶ物理数学”の範囲だけでは賄いきれず、「急激に難しくなった」とか「知らない数学が多すぎる」と感じる方も少なくないようです。そこで本書では、物理学の基本的な内容は扱えるようになったけれど、本当に知りたいところとの間に壁を感じている人を対象に、「物理学の初級コースと中・上級コースのギャップを、少しばかり緩和するための数学的技能を解説したテキスト」となることを目標としました。
もちろん、本書で扱うような内容を、物理現象から切り離して数学的技能の羅列にしてしまうことには賛否があるかもしれませんが、物理的な内容も難しい上に、よくわからない数学的技能が用いられているとなると、よほどの才覚がない限りは、初見でそれぞれを見極めて習得することは大変だと思います。そのために本書では、数学的技能として分離できる部分は、できるだけ具体的な物理現象とは切り離して「個々の作業は数学的な処理に過ぎない」と認識できるように配慮しました。
なお本書は、「第1章がわからないと第12章がわからない」というわけでもないので、まずは好きなところ(あるいは困難を感じているところ)から学び始めるのでもよいと思います。また、各章の内容が「数学寄りなのか」「物理寄りなのか」かが一目でわかるように、各章の冒頭にアイコンを入れましたので、目安として参考にしていただければと思います。
物理学の勉強が、ある段階から先に進みづらくなってしまった方々にとって、本書がその壁を乗り越えるためのきっかけになれば大変嬉しく思います。
【目次】