感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Schuhschnabel
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医学者でありかつ文人・画家でもあった太田正雄(木下杢太郎)とハンセン病との関わりについて論じている。戦前からハンセン病医療に携わった医師の多くは、宗教的であるか否かの別はあるにせよ、患者を救わなければならないという強い使命感を持っていたが故に全体を俯瞰することができずにいたが、太田はまず実態を正確に把握するために、基礎医学が専門にもかかわらず疫学調査を行った点は高く評価できる。ただ、ハンセン病は治るという信念をもって研究を自らの病を押してまで行ったことと「ユマニテ」がどう結びつくのかについては疑問が残る。2021/08/06