内容説明
日本共産党を除名された中野重治は、1964年12月から69年9月まで57回にわたり、『群像』に「甲乙丙丁」を連載した。本書はこの2000枚をこえる長編『甲乙丙丁』を読み解く。歴史的岐路に立つ今日、1960年代の政治の季節に上梓された、この全体小説の歴史的な普遍的意義を問う。
目次
第1部 回想の中野重治(「米配給所は残るか」など;神山茂夫の死と神山茂夫研究会)
第2部 『甲乙丙丁』の世界(一つの楽しい小説―主題と素材と方法と;「あの頃は動物園の猛獣の声が聞えたな」―作品をなりたたせる歴史背景;「田村さんにとって不利じゃないかって…」―日本共産党における個的=人間性の剥落;「馬鹿な、てんでわかっていない…」―前衛党と党外大衆団体との関係批判;豊田貢(菊池寛)への手紙)
著者等紹介
津田道夫[ツダミチオ]
1929年、埼玉県に生まれる。1953年東京教育大学文学部史学科卒業。雑誌の編集者を経て、1957年「現状分析研究会」を組織し、『現状分析』を発行した。1971年「障害者の教育権を実現する会」の結成に参加。現在、思想史・認識論研究に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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