内容説明
マルクスの理論を正確に知るためには、それがどこからどこへ、そして何を経由して成立・発展してきたのかを知る必要がある。そのような成立と発展の複雑な過程を理解して初めて、マルクスの理論を深く学ぶことができるのであり、またそれをいっそう発展させるためにはどのような方向をたどればいいのかのヒントも得ることができる。本書はそうした理論的作業のひとつとして、マルクスの剰余価値論の形成史を、主にして前期著作の『哲学の貧困』や『賃労働と資本』から、後期著作の『賃金・価格・利潤』や『資本論』(初版および2版とフランス語版を含む)に至るまでを批判的に検証し概観する。
目次
第1章 マルクス剰余価値論形成小史―『賃労働と資本』から『賃金・価格・利潤』へ(『資本論』への長い道のり;『賃労働と資本』の背景と全体像;『賃労働と資本』の内容とその諸限界 ほか)
第2章 マルクス剰余価値論の形成と「リカードのドグマ」(「リカードのドグマ」とは何か?;初期・前期マルクスにおける「リカードのドグマ」;「リカードのドグマ」の克服1―剰余価値の発生メカニズムの解明 ほか)
第3章 マルクスにおける「価植生産物」概念の形成と「スミスのドグマ」(「スミスのドグマ」と「価値生産物」概念;現行版『資本論』における「価値生産物」;「経済学批判要綱」における「価値生産物」と「v+mのドグマ」 ほか)
著者等紹介
森田成也[モリタセイヤ]
1965年生まれ。国学院大学非常勤講師。著書に『資本主義と性差別―ジェンダー的公正をめざして』(青木書店)、『資本と剰余価値の理論―マルクス剰余価値論の再構成』(作品社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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