内容説明
マルクスは、資本主義のグローバル化が生み出してきた植民地主義やエスニック・マイノリティの問題についてどのように考えたのか。本書は、すでに刊行されている著作や手紙のみならず、未刊行の抜粋ノートも含め、膨大な文献を渉猟し、この問いに答えようとする。そこから見えてくるのは、西洋中心主義的な近代主義者マルクスではなく、非西洋社会の共同体を高く評価した、近代の批判者としてのマルクスにほかならない。思想的転換を遂げた、晩期マルクスの未完のプロジェクトが遂にその姿を現す。
目次
第1章 一八五〇年代における植民地との出会い―インド、インドネシアおよび中国に対するヨーロッパの衝撃
第2章 ロシアとポーランド―民族解放と革命の関係
第3章 人種、階級、奴隷制―第二次アメリカ革命としての南北戦争
第4章 アイルランド―ナショナリズム、階級および労働運動
第5章 『要綱』から『資本論』へ―複線的テーマ
第6章 非西洋社会および前資本主義社会に関する晩期の諸著作
補遺 一九二〇年代から今日までの『マルクス=エンゲルス全集』(MEGA)の遍歴
著者等紹介
アンダーソン,ケヴィン・B.[アンダーソン,ケヴィンB.] [Anderson,Kevin B.]
カリフォルニア大学教授。専門は社会学、政治学、フェミニズム研究。関心領域は、マルクスやヘーゲルを中心に、フランクフルト学派、フーコー、オリエンタリズム論争など多岐にわたり、『マルクス=エンゲルス全集(MEGA)』の編集にも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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田中峰和