内容説明
それはあたかもイエスが十字架にあって、「神よお救いはないのか」と血を吐く思いで語ったのと同様である。阿弥陀仏による救いはついになかった。だが、他力の念仏易行以外に、何がありえるのか。親鸞はまたしても阿弥陀仏にすごすごと帰らざるをえなかった。「閉眼すれば加茂川に入れて魚に与えよ」―親鸞最後の言葉に、救いのない阿弥陀仏を信じないわけにはいかなかった、暗い闇の底に沈んだニヒリズムが感じとれる。
目次
第1部 親鸞は半僧半俗の二重人格者だ(勤労意欲のない探究者・親鸞;中道保守党の位置にある社会姿勢;苦悩者救済が親鸞の真意であった ほか)
第2部 多極から他極に移った浄土真宗―インドの和尚への架空インタビュー(神は擬人格ではなく存在性である;この世に信念・信仰・信心は不必要だ;念仏は自己同一化のための自己催眠 ほか)
第3部 仏教研究諸家による浄土教批判(浄土教は菩提心を捨てている―明恵『摧邪論』(現代語訳)の要約
旧浄土教から新浄土教への革命―野々村直太郎『浄土教批判』(現代語訳)の要約
哲学的に完徹せざる浄土真宗―田辺元「他力仏教とキリスト教との異同」改訂 ほか)
著者等紹介
玉川信明[タマガワノブアキ]
出身地、富山市。現住地、藤沢市
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