内容説明
民間人の頭上に火の雨を降らせ、人を殺戮し、街を焼却しようとする無差別爆撃は、明らかに戦争犯罪であり、その犯罪を戦争の名のもとに作り出した歴史があった。空襲を防がなければならないという明確な責任観念もないままに、大言壮語して戦争を拡大し、最後のつけを民間人に押しつけた軍があった。法律まで作って民間人を火の雨の下に縛りつけた官があった。日常生活の隅々にまで張り巡らされた網の目のような組織が、最末端の人々を火の雨から逃がさなかった現実があった。ペンをもって戦争を正当化し、先棒がついで人々を悲劇に駆り立てた言論があった。これら全ての結果として、あの日、あの時、人々は火の雨の下に立ち、死んでいったのだ。そのことの一つ一つを、どうしても語らなければならないとの思う。
目次
第1章 火の雨を生んだ歴史―戦略爆撃の登場(戦争の現実を見ないところで;戦略爆撃の登場 ほか)
第2章 火の雨を招きよせた者たち―軍指導者の責任(軍防空の貧弱と無策;民防空の駆り出し ほか)
第3章 火の雨の下に縛りつけた者たち―防空法体制の足枷(防空法の成立と民防空の強化;防空壕 ほか)
第4章 あの日、火の雨の下で―一九四五年五月二十九日の横浜(もう一度あの写真から;その朝の我が家 ほか)
著者等紹介
加藤修弘[カトウノブヒロ]
1943年生まれ。都立高校教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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